『県境を越えるサイバー犯罪専門対策組織』 SCAN編集部では、7月3日月曜日、法務省を訪れ、法務副大臣 河野太郎 衆議院議員に、日本のセキュリティ政策の未来を聞きました。インタビューの模様を2回に分けてお届けします。 議員は、総務省時代には住基ネット、そして現在の法務省では共謀罪と、国の安全や治安などセキュリティに深く関わっている経歴を持っています。 また、本年9月の自民党総裁選に立候補表明。総裁選に際しては、いち早く自身の公式ホームページに政権構想を掲げ、ブログやmixiなどの双方向ツールを用いながら政策を主張するなど、インターネット時代の新しい政治手法として注目を受けています。 ■河野太郎プロフィール 衆議院議員、法務副大臣、自由民主党神奈川県連会長 1996年10月20日、第41回衆議院総選挙にて神奈川第15区で初当選 2000年6月25日第42回衆議院総選挙にて神奈川第15区で二回目の当選 2002年1月8日総務大臣政務官に就任(2002年10月4日退任) 2005年11月2日、法務副大臣に就任 ■関連URL 自民党 衆議院議員 河野太郎の公式サイト http://www.taro.org/ 新しい日本を創る河野太郎の処方箋 http://www.taro.org/sosaisen/ 衆議院議員 河野太郎発行メルマガ「ごまめの歯ぎしり」ブログ版 http://www.taro.org/blog/ ── ● 住基ネットから共謀罪 常にホットな場所に異動 疋田: なんだか、つねに大変なところにいますね。 河野: 総務省の時は住基ネットで、今度法務省に来たら共謀罪でしょう。常にホットな話題のところいるんですよ。 疋田: 住基ネットの時は確か河野さんがゆく前にすでに話ははじまっていて、一番盛り上げっている時に総務省政務官になられたんですよね? 河野: そうです。ただ、僕がいった時点ではまったく説明ができていなかった。住基ネットがなぜ必要か、どのようなものなのか、そういったことがちゃんと説明できていなったので、僕がやれということになって、いろいろはじめたわけです。だいぶ苦労しましたが、じょじょに理解してくれるようになってきたと思います… 住基ネットは当初Windowsベースで構築されていたんですが、それがちょっと問題でした。ある人に指摘されたのですが、Windowsは中身がわからない、わからないものの安全性がなぜわかるのかという指摘です。しょせん、海外の特定の企業の製品なわけです。そこで、僕は思ったんです。中身のわかるオープンなものでないといけない。Linuxを活用してゆかなければならないとそこから考え始めました。 疋田: 海外でも政府関連にはWindowsを使用しないと決定した国もありますね。いろいろな観点から特定のベンダの単一製品を一律に使うことは危険という認識は広がっていると思います。 河野: 法務省では登記のオンライン化を進めているのですが、実は登記のオンライン利用には住基ネットカードが必要なんです。ここでまた住基ネットが関連してきた。住基ネットが普及しないと登記のオンライン化も普及しない。 その一方で住基ネットカードの用途つまりメリットがないと住基ネットカードも普及しません。だって、住基ネットカードを作るよりも印鑑証明を登録する方が全然早くて楽にできるんですよ。メリットがないとわざわざ住基ネットカードを作ろうと思いませんよね。 疋田: たまごと鶏の関係ですね。 河野: まったくその通りです。どこかでブレークスルーがないとどちらも普及しない。現在はオンライン利用の場合は、登録免許税を下げるなどの利用メリットを打ち出すようにしようとしています。登録免許税の率がかわるとそれだけで十万円単位でとか違ってきますから、これは利用者にとってメリットあります。 ただ、いずれにしてもこれまでは住基ネットについて「いいか悪いか」といった議論が多かったのが、「利用のメリット」についての議論ができるようになった。じょじょに認知され、広がってきていることなんだと思います。 疋田: 法務省に来た時は共謀罪がホットでしたね。あれはそもそもどこから出てきた話しなんですか? 河野: 共謀罪はもともと河野洋平外務大臣の時に共謀罪を義務化する国際条約に署名しているんですね。で、それを成立させようと河野太郎、私がやっていたら、河野洋平議長が強行採決はやめろといってとめたという経緯なんです。で、法務大臣から「議長のとこに法案の説明にいってこい」といわれて、河野洋平議長のところにいったら、「お前より俺の方が法案を知っている。だって署名したのは俺なんだから」といわれてしまったんです。 【取材・執筆:疋田 文五郎/SCAN編集部】 |