2005年情報漏洩事件総括 | ScanNetSecurity
2024.04.18(木)

2005年情報漏洩事件総括

インターネットの普及に伴い、ネット上では頻繁に重要な個人情報がやりとりされることとなった。Eコマース関連サイトはクレジットカード番号、住所、電話番号など重要なデータを保持しており、これが漏洩すれば大きな影響を及ぼす社会的な事件ともなるため、高いセキュリ

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インターネットの普及に伴い、ネット上では頻繁に重要な個人情報がやりとりされることとなった。Eコマース関連サイトはクレジットカード番号、住所、電話番号など重要なデータを保持しており、これが漏洩すれば大きな影響を及ぼす社会的な事件ともなるため、高いセキュリティが必要とされる。このような個人情報の保護を単なるコンセンサスとしてでなく、法的に定めたのが今年4月1日に施行された個人情報保護法だが、それにもかかわらず、今年も多くの個人情報漏洩事件が発生した。それはEコマースサイトからの情報漏洩に限らず、個人のPCを狙ったキーロガータイプのスパイウェア、勝手に情報をアップロードするWinny対応ワームなど、さまざまな事件があった。その代表的な事件を紹介する。

●価格.com事件

今年5月、有名な価格サイト「価格.com」のサーバがハッキングされ、ホームページが改ざんされた。価格.com側がこの改ざんに気づいたのは5月11日、そして、5月14日に対策のため一時的にホームページを閉鎖した。

この事件ではホームページのメッセージや商品価格などではなく、表示されない情報が改ざんされた。表示されないが特定の処理を実行するHTMLである。この場合、「iframe」タグだと言われている。iframe自体は普通のHTMLのタグだが、IE6にはこれによるバッファオーバーランの脆弱性があり、これを使って、ホームページを表示しただけでプログラムを勝手に実行してマルウェアをインストールしてしまうことが可能になる。

犯人はこれを利用して、そのホームページを見た人のPCに「CHM_DELF.RM」、「TROJ_DELF.RM」(トレンドマイクロ名)、「TrojanDownloader.Small.AAO」、「Win32/PWS.Delf.FZ」(NOD名)というドロパーおよびトロイの木馬をダウンロードするようにした。このDELFはMMORPG「リネージュ」のユーザー情報を取得して特定サーバに送信するいわゆる「キーロガー」タイプのスパイウェア。そのため、リネージュをプレイしない人には影響がない。なお、この事件では、キヤノンシステムソリューションズの「NOD32」だけが、このマルウェアを検知したことでも話題を呼んだ。

ところで、なぜゲームのログイン情報を盗もうとしたか? というと、ハッキングしたユーザーのアイテムなどをRMT(RealMoneyTrade)で売り払い、金に換えるためである。

なお、このiframeタグの脆弱性に対して、マイクロソフト社は2004年12月1日の時点で対応パッチ「MS04-040」を提供していた。また、SP2アップデートしていた場合も、対策がほどこされる。つまり、この事件の被害者はセキュリティ更新を怠っていた人ということになる。アンチウイルスソフト以前に、脆弱性の更新は忘れないようにするべきである。
http://www.kakaku.com/info/press_release/20050802.htm

【執筆:一条真人 http://www009.upp.so-net.ne.jp/showkun/ 】

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この記事には続きがあります。
全文はScan Security Management本誌をご覧ください。
https://www.netsecurity.ne.jp/14_3697.html
《ScanNetSecurity》

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