米国で去る10月、サイバー犯罪増加を受けて、連邦預金保険会社、連邦準備銀行といった監督機関の統括組織である連邦金融機関検査委員会(Federal Financial Institutions Examination Council: FFIEC)が、「(ひとつではなく)複数にわたる本人認証」を使用することについて金融機関に勧告を行った。現在、米国の金融機関の殆どはユーザー名とパスワードのみしか、インターネット・バンキングにおける本人認証に使用していない。そのため、サイバー犯罪者はこれらの情報を獲得するために、様々な試みを行っている。特にここ1〜2年の間、スパイウェアをはじめとするクライムウェアによる個人情報盗難の被害が急増している。その結果、市民の中にはインターネット・ショッピングやeバンキングを控えるようになったという人も多い。銀行口座の資金を狙ったサイバー犯罪の例を数件みてみよう。●キーロガーによる大規模個人情報盗難8月4日、Sunbeltソフトウェアのアレックス・エッケルベリー社長がブログで、同社研究員がキーロガーソフトを使って数千台のコンピュータから不正に個人情報を集めていた犯罪者のグループを発見、FBIが調査していると告発した。これは、同社に以前、勤務していた研究員、パトリック・ジョーダンがスパイウェア、CoolWebSearchの感染について調査していて、大規模な個人情報盗難事件を発見したものだ。感染したPCを調べているうちに、ジョーダンは1)テストを行っていたPCがスパムを送付するゾンビPC化したこと2)リモートサーバへのコールバックを行っていることに気付いた。さらに、コールバックされたリモートサーバを調べ、アップロードされていたキーロガーのスクリプトファイルを見つけている。エッケルベリー社長が、「まさしくスパイウェア」とコメントしたとおり、チャットのセッションから、クレジットカード、社会保険番号、ユーザー名、パスワード、極めて個人的なインスタント・メッセージの内容、そして検索条件で何を使ったかなど、ありとあらゆる情報が傍受されていた。【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】── この記事には続きがあります。 全文はScan Security Management本誌をご覧ください。 https://www.netsecurity.ne.jp/14_3697.html