ブログにまつわる法律相談室■第1回■ | ScanNetSecurity
2024.03.29(金)

ブログにまつわる法律相談室■第1回■

インターネットで個人による情報発信が可能になったのはおよそ10年前のこと。しかし、HTMLによる表記、FTPによるアップロードなど、潜在的な情報の伝え手の前には多くの技術的な壁が立ちはだかっていた。その壁を壊したのが、ブログであり、ブラウザさえあればでき、特殊

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インターネットで個人による情報発信が可能になったのはおよそ10年前のこと。しかし、HTMLによる表記、FTPによるアップロードなど、潜在的な情報の伝え手の前には多くの技術的な壁が立ちはだかっていた。その壁を壊したのが、ブログであり、ブラウザさえあればでき、特殊な技術を必要としない手軽さが多くのユーザを取り込んできた。総務省が先日公表したように、2005年度末での335万人がブログを利用している。この爆発的な利用者の伸びの背景が、技術的障壁の消失にあるのは間違いないだろう。

しかし、その一方でブログにまつわる法律的な問題も多く指摘されるようになってきている。過去、個人が情報発信をする能力を手に入れたことはほとんど無かった。そのため、多くの個人が情報を発する場合に注意すべき法制度について知識を持ち合わせていないことがその原因と言える。そこで本連載では、新しいメディア、ブログによって生じてきている法律的な問題を扱っていく。今回は、知的所有権の侵害、特に著作権侵害について取り扱う。

●著作権に関する基礎知識

著作権法における著作物とは、「個人の思想や感情を創作的に表現したものであって、文学、学術、美術、又は音楽の範囲に属するもの」と定義されている。ブログ上で問題になる主な著作物は、おそらく次の4つだ。

・文章(新聞や雑誌の記事、小説、他人のブログの文章など)
・音楽(音楽そのもの、MIDIファイル、楽譜、歌詞など)
・画像(他人が作成したCG、写真など)
・動画(テレビやDVDなどをエンコードしたもの、他人の作成したフラッシュなど)

作成された段階で権利が発生する、これは著作権の大きな特徴である。届け出が必要ないのは、著作権の主目的が、「著作者の権利を守る」ことであるからだ。

また、著作権は大きく以下の2つの権利に分けて考えることができる。

・著作者人格権(譲渡不可能:氏名表示権、同一性保持権など)
  ・氏名表示権(著者名の表示・非表示、表示する氏名の指定などの権利)
  ・同一性保持権(内容の変更には著作者の了承を必要とする権利)
・著作財産権(譲渡可能:著作物を利用し金銭的利益を得る権利)

著作者人格権とは、こういうことだ。例えば、あなたが原稿を書き、著作財産権を他者に譲渡したとする。それが出版されたとき、以下のようなことが行われたとしたらどうだろうか。

・原稿に書かれたあなたの個人的見解が、意図しない形に改ざんされている
・原稿の執筆者名が、他者のものになっている
・匿名での公表を希望したにもかかわらず、あなたの実名で公表されている

上の3例とも、筆者は著作財産権を譲渡しているが、公表物はあなた本来の著作物ではなくなってしまっている。原作者はこのような著作物の改ざんを認めさせない権利を有しており、それが著作者人格権と呼ばれているものである。

さて、以降では具体的な事例を挙げながら、ブログ執筆時の注意点を述べていく。

●非商用目的の個人ブログへの、著作物の転載は可能か?

これは、ブログに限らずよく誤解されている問題だ。「商業用目的でなければ、著作物の利用は自由に行える」と考え、ブログを運用している事例は多く見受けられるが、これは誤りである。

著作物の利用には、商業目的であるか否かに関係なく、著作財産権を有するものの許諾が必要だ。ブログへの転載等についても全く同じことが言えるので、注意してほしい。つまり、文章、音楽、画像、動画を転載する場合、権利者の許可を得るか、あるいはその著作物の使用料を支払う必要がある。

【執筆:株式会社アイドゥ 小松信治 http://www.eyedo.jp 】

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この記事には続きがあります。
全文はScan Security Management本誌をご覧ください。
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?ssm01_ssmd
《ScanNetSecurity》

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