【利用者から見た電子自治体、電子政府(26:最終回)〜これからの課題】(執筆:武井明) | ScanNetSecurity[国内最大級のサイバーセキュリティ専門ポータルサイト]
2017.12.17(日)

【利用者から見た電子自治体、電子政府(26:最終回)〜これからの課題】(執筆:武井明)

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●目標達成目前のe-Japan戦略

 「ユビキタスネット社会の実現に向けた政策懇談会」最終報告書(http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/041217_7_bt2.html)によれば、e-Japan戦略は、目標達成目前とされる。高速インターネットに関していえば、日本はいつの間にか世界最高のネットワークインフラを享受できる国になった。

 ダイヤルアップを使って自宅からインターネットをしている人は、読者の方の周りにはあまりいないのだろう。インターネット先進国のアメリカでもダイヤルアップユーザは結構いるし、また、シンガポールでも自宅からだとダイヤルアップが意外と多いという話も聞いたことがある。日本は、ネットワークインフラでは恵まれた国になったと自慢していいだろう。

 さて、ネットワークインフラは整った。次はコンテンツになるのが自然の流れである。それでは、どんなコンテンツすなわち情報が、電子自治体、電子政府という文脈で価値を持つのだろう。報告書をもう少し追って見よう。

●「2010年に向けて日本社会が取り組むべき重要テーマ」

 報告書の第5章にこの題名どおりのアンケートについて記述がある。アンケートの目的は、『u−Japan政策を検討するに当たって、まずは生活者や利用者の立場に立ち、2010年に向けてわが国がどのような社会になることを望んでいるのかを的確に把握することから始めることとした。このために五千人規模の生活者アンケートを実施し、これを手掛かりに生活者・利用者のニーズにアプローチした。』である。

 アンケート回答結果の1〜5位は、
 1位 安全・安心な生活環境の実現(69.2%)
 2位 エネルギー問題の解決(55.5%)
 3位 患者中心の医療サービスの充実(54.9%)
 4位 循環型社会・環境共生型社会の構築(52.7%)
 5位 高齢者・障害者の生きがいづくり・社会参加の促進(50.1%)

 第1位が、安全・安心な生活環境の実現というのは象徴的である。これから、安全・安心できない状況が発生すると多くの人が思っているのである。個人情報が相変わらず流出しており(最近では、ドコモから個人情報流出 http://www.itmedia.co.jp/enterprise/mobile/articles/0502/14/news045.html )、場合によっては振り込め詐欺に使われてしまう。振り込め詐欺も相変わらず盛んで、被害にあったとか、電話がかかってきたという話を読者の方も直接の知り合いから聞くようになったのではないだろうか?

 私のところにも、明らかに個人情報をつかんだ上での架空請求のメールが来た。ネットワークのもたらす便利な情報社会が逆にもたらした安全上の問題である。便利になることは、いままでコントロールできなかった大きな力を使うことに他ならないから、便利と危険はいつも一緒である。力のコントロールを間違えれば、大きなトラブルが発生する。自動車が普及して交通事故が発生するのと同じである。

 ただ、セキュリティに関しては、上記の報告書でもあまり触れられておらず、自治体や政府のセキュリティに関する意識はまだまだ低いのだろう。自治体発行のデジタル証明書の信用度に問題があっても相変わらず気にならないようである(http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20050306.html)。また、自治体、政府は非常に多くの個人情報を持っているのである。企業における個人情報保護とは比較にならないほどの重要性があるのである。そこで、自治体、政府に関する個人情報の問題と、それに対する対応策について、やや希望的観測をこめて述べてみよう。

●自治体、政府の個人情報保護

 少し古い情報になるが、住民票の改ざんは、東京23区だけで3年間に1300件(毎日新聞2002/05/09)である。本人確認をせずに、住民票の移動がつい最近まで可能だった。公的個人認証をつかってセキュリティが確保されるという以前の問題だろう。最近では、戸籍や住民票などの手続きには、写真つきの身分証明書の提示を求めるようになっている。

 また、『郵政職員の着服15億円、未回収は9億円 04年度分』(http://www.asahi.com/national/update/0308/TKY200503070594.html)のような事件も起こっている。老人の郵便貯金を勝手に引き出すケースもあり、本人が忘れていると事件にならないケースもあるようである。そういった状況の中で、個人情報が保護されるのだろうか?


【執筆:武井明】

──
(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
《ScanNetSecurity》

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