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2017.09.21(木)

利用者から見た電子自治体、電子政府(22) 〜公的個人認証

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●電子自治体、電子政府の中核となる公的個人認証

 実際の普及具合はともあれ、本当に確実な認証が必要な場合のインターネット上の認証システムとしては公開鍵基盤(PKI)しか考えられない。公開鍵システムは、暗号の歴史の中で画期的な出来事である。

 それまでの暗号のシステムは、暗号化する鍵と、暗号から復号する鍵が同じ共通鍵システムだった。暗号化する共通鍵を奪われたら、その鍵はもう使えない。公開鍵システムが発明により、公開鍵で暗号化して秘密鍵で復号できるようになった。公開鍵は奪われてもよいだけではなく、積極的に公開するものになった。そして、さらに重要なことが起こった。逆に、秘密鍵で電子署名をして、それを公開鍵で検証することが可能になったのである。さらにその検証用の公開鍵に権威ある人や組織が署名を施すことによって、電子署名に対してまさに印鑑証明のように証明書を付与することが可能になった。理論的にはすごいことである。

 政府が公開鍵基盤である公的個認証を日本における認証基盤にしようとするのは当然である。しかし、いまだに普及していない。しかも、公開鍵基盤(PKI)に関してはIT関係で有名な企業の人も知らないことが多く、到底普及するとは思われない。普及は難しいというのは公開鍵基盤(PKI)のことを知っている多くの人の正直な印象だろう。ただ、これは2005年2月現在の話ではある。それ以前に比べれば少しは状況が改善されてきている。公的個人認証に関しては、利用できるサービスが今まで事実上存在しなかったのである。それに比べると使えるサービスが出てくるようになっただけでも進歩である。

 もちろん、実際使うかどうかは別である。東京には、東京電子自治体共同運営サービスがあり、23区の電子申請サービスの受付を集約して行っている( https://www.e-tokyo.lg.jp/info/res/top/PrtlRTopMenu.do )。練馬区と、港区で別々のシステム開発するのは無駄であるので、このようにサービスシステムを集約するのは費用対効果の面でも好ましい。ただ、23区でもまだ参加していない区もある( https://www.e-tokyo.lg.jp/info/res/index/shinsei_sanka.html )。

 さて、東京電子自治体共同運営サービスが何をやっているかというと、簡単にいうと登録者に対するID、パスワードの発行である。登録は簡単である。Web上から必要事項を入力すると、確認の電子メールが送られてくるので、それを承認すればよい。電子メールアドレスがあれば誰でも簡単に登録はできる。この登録だけで、効果を発揮する電子申請サービスもある。東京都港区の例でみると『飼い犬の死亡届』がある( http://www.city.minato.tokyo.jp/denshishinsei/ )。
さすがこういった申請にも電子署名を必要とすることはないと思って外したのだろう。住民票の申請などは、当然公的個人認証を必要とする。


●公的個人認証を使う気になるか

 公的個人認証は、つい最近まで実際に利用できる行政サービスが、ほとんどなかった。したがって公的個人認証は、使いたくても使えなかったのである。最近はさすがに状況が変わってきた。電子申請が公的個人認証を使って利用できるようになったとされる。しかし、重要なのはそういった電子申請サービスを使う人がそれほどいるかどうかである。公的個人認証を利用してサービスを受けるまでかなり手間である。

 まず、住民基本カードをつくり、その中に公的個人認証の証明書(公開鍵に署名がついたもの)を秘密鍵とともに保存する。次に、公的個人認証用に使うICカードのソフトウェアが必要で、また、ICカードリーダがもちろん必要である。そしてとどめである。電子署名するときにトラブルが生じて、電子署名できないのである( https://www.e-tokyo.lg.jp/eap/soudan/html/jizen_jyunbi.html )。

 実際に使ってみるとトラブルが起こった。住民票の申請をするために、公的個人認証を使った署名付与のところでトラブルが生じたのである。原因はよくわからないが、JAVAのアプレットがうまく機能しないように見える。原因はともかく、正式に配布されているアプリケーションを使ってもうまくいかない。公的個人認証を普及させるには、前途多難である。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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