株式会社セキュアブレイン取材レポート(前編) | ScanNetSecurity
2024.04.25(木)

株式会社セキュアブレイン取材レポート(前編)

 2004年10月5日、東京都千代田区に小さな会社が新しく設立された。株式会社セキュアブレイン( http://www.securebrain.co.jp/ )。一見普通のセキュリティベンダのように見えるのだが、実はこの会社、セキュリティソリューションの雄、シマンテックの日本法人から独立

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 2004年10月5日、東京都千代田区に小さな会社が新しく設立された。株式会社セキュアブレイン( http://www.securebrain.co.jp/ )。一見普通のセキュリティベンダのように見えるのだが、実はこの会社、セキュリティソリューションの雄、シマンテックの日本法人から独立した9人が中核メンバとなっている。代表取締役社長兼CEOは、元シマンテック日本法人社長兼CEOの成田明彦氏。事実上「シマンテックからのスピンアウト」ともいえる形で設立されたこの会社は、今後どのようなソリューションを生み出していくのだろうか。また、この会社の目指すものは何なのだろうか。そのような疑問を胸にセキュアブレインのオフィスを訪れ、成田氏、セキュアブレインのプリンシパルセキュリティアナリスト星澤氏に話を聞いた。


■会社設立に秘められた思い

 会社設立の経緯を考える上で、現在代表取締役社長兼CEOの成田氏のキャリアパスを無視することはできない。まずは成田氏のキャリアパスを振り返ってみたい。

 成田氏は20年を超えるIT業界でのキャリアの後、1989年、アップルコンピュータ日本法人に入り上級幹部となった。そして1994年、世界最大のコンピュータセキュリティ製品・ソリューションのベンダである、米シマンテック社の日本法人立ち上げに参画し、日本法人社長および米本社の副社長を兼務することとなる。当時はまだ日本では「コンピュータセキュリティ」という概念自体が明解に存在していなかった時代である。米本社の後押しがあったにせよ、事実上日本国内で全く新しい市場を開拓してきたといっても過言ではなかろう。成田氏は、シマンテック日本法人設立から約9年もの間、シマンテック日本法人の社長として、日本のセキュリティ業界を先導してきた第一人者なのだ。日本におけるセキュリティ市場の立ち上がりから今日まで、市場を見続けてきた成田氏は、まさに日本のセキュリティ市場についての「生き字引」とも言うことができるだろう。

 そんな成田氏であるが、昨年シマンテック社長職を退き会長職に就任する。会社経営は現シマンテック社長の杉山氏に任せ、経営の第一線から退いた形となる。このとき成田氏は、自分は次に何をしていくべきなのだろうかと考え始めるようになったという。「更なるステップとして、自分は何を行うべきだろうか?」、これを具体的に考え始めたとき、まず選択肢にあがったのは「同じことをもう一度行う」ことだった。つまり、米シマンテックの日本法人を立ち上げ、日本のセキュリティ市場を開拓してきたキャリアを生かし、また別の外資系企業の日本法人設立に参画すること、これが最初に念頭にあがったという。実際、いくつかの企業から、具体的な誘いもあった。

 成田氏はシマンテック日本法人社長として9年間、日本の情報セキュリティのために奔走し続けてきた。市場におけるNo.1プロダクトの拡販を通じ、情報セキュリティ市場の拡大と、その啓発活動に貢献し続けた成田氏の功績は非常に大きい。しかしながら、アメリカ製の製品により国内の情報セキュリティ市場が席巻されていることに関して、成田氏が強い危機感を募らせていたのも、また事実であった。


■セキュリティの第一人者が強く抱く危機感

 現在、日本の市場で広く流通している情報セキュリティ関連製品やソリューションのほとんどは、実はアメリカ、一部はイスラエルで生まれたテクノロジである。もちろん、日本発の製品やソリューションが全く皆無であるというわけではない。しかし、「情報セキュリティ製品」と聞いていくつか製品を思い浮かべてみてほしい。「ファイアウォール」「ウイルス対策ソフトウェア」「侵入検知システム」「暗号化」「PKI」など、情報セキュリティの基盤をなす製品、あるいはその基本的考え方はすべてアメリカあるいはイスラエル発であることがわかるだろう。その他の国で生まれたセキュリティ製品も存在しているが、それらは先行するアメリカのテクノロジを模倣したものに過ぎないのだ。


【執筆:小松信治(アイドゥ)】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
《ScanNetSecurity》

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