個人情報保護法完全施行で、情報セキュリティ対策が企業価値を左右する時代に | ScanNetSecurity
2024.04.19(金)

個人情報保護法完全施行で、情報セキュリティ対策が企業価値を左右する時代に

個人情報保護法で課題となるセキュリティ対策とは ■第1回■

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個人情報保護法で課題となるセキュリティ対策とは ■第1回■

〜経済産業省 情報セキュリティ政策室 田辺課長補佐が講演〜

 2005年4月から個人情報保護法が完全施行される。いよいよ残すところ5カ月となり、今、多くの企業が「自社の情報セキュリティ対策をどうすべきか」に頭を悩ませているだろう。そのような状況の中、日本ネットワークセキュリティ協会(JSNA)が「Network Security Forum 2004」を開催した。個人情報保護法対策の基本的な考え方から「今、取り組むべき緊急課題」まで、講演内容を抜粋して紹介しよう。


●セキュリティ対策はIT部門から経営者層の課題へ 社会的責任として情報セキュリティ対策を

 初日のセミナーは、経済産業省の商務情報政策局 情報経済課 情報セキュリティ政策室 課長補佐の田辺雄史氏の基調講演「情報セキュリティ対策は企業価値を高められるか?」で幕をあけた。この講演のサブタイトルは、ずばり「個人情報保護法に向けた準備と情報セキュリティ政策の最新動向」。2005年4月の完全施行が目前に迫りながらも個人情報保護法については「今ひとつ全貌が見えにくい」、「企業として今、何をどうすべきかが把握しきれていない」といった声が聞かれるのが現状である。その実情を反映してか、田辺氏の基調講演には企業の情報セキュリティ担当者など多くの来場者が足を運び、会場は静かな熱気につつまれていた。

 田辺氏は、まず、「つい先日、話題のフィッシングメールが私のところに届きました。手口の詳細を確認してやろうと思ったのですが、Windows XP SP2に入れ替えていたのでポップアップがブロックされ、お手並み拝見とはいきませんでした(笑)」と軽いジャブで来場者の関心を集めた。「(コンシューマレベルでは)セキュリティ関連ツールがベンダーから提供されサプライサイドの対策準備は整いつつある。課題はユーザーサイドの取り組みにある。同様に情報セキュリティ対策全般でも、どこに焦点をあてるのか、それが移行しつつある」と語った。これは、個人情報保護法の完全施行を前に、セキュリティ対策の課題が「技術からマネジメントへ」、「情報システム部門から経営者層へ」と移行し、情報セキュリティ対策が企業にとって「収益を生まないモノ」ではなく「信頼性を確保するモノ」へと変化したということ。つまりは、企業にとっては情報セキュリティ対策のフォーカスをIT事故対策から個人情報保護対策へとシフトし、企業としての信頼性・企業価値を高めることに結びつけていくことが重要ということである。

 情報セキュリティを取り巻く時代の変化についても「ITが経済・社会の重要な『神経系』となり、同時に新次元のリスクも生まれている。IT関連の事故が起こる前の予防はもちろん大切だが100%事故を避けることは困難である。事故を前提とした対策を考える必要がある」と、「予防偏重」から「事故前提」に頭を切り替える重要性も指摘した。


●国家として情報セキュリティ対策のグランドデザインを構築する段階に

 そういった状況をふまえた上で、田辺氏は政府内の最近の動きとして、「国家として情報セキュリティ対策のグランドデザインを作る段階に入った」とし、具体的には情報セキュリティ基本問題委員会の設置をはじめ、e-文書法や個人情報保護法など法整備が進んでいることを述べた。e-文書法については、紙から電子媒体へとデータが移行するにつれ、利便性は確実に高まるもののセキュリティ上の問題も大きくなってしまうことに触れ、「電子媒体はコピーや修正、送受信、情報蓄積も非常に容易で、それだけにデータ改ざんも痕跡が残らないし、新手の情報盗難の手口も生み出される可能性もある」と警告した。


【執筆:下玉利 尚明】

この記事には続きがあります。
全文はScan Security Management本誌をご覧ください。
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?ssm01_ssmd
《ScanNetSecurity》

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