利用者から見た電子自治体、電子政府(12) 〜市町村のレベル(何が行われ、今度どうなるのか) | ScanNetSecurity
2024.03.29(金)

利用者から見た電子自治体、電子政府(12) 〜市町村のレベル(何が行われ、今度どうなるのか)

●市町村の役割

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●市町村の役割

 都道府県は広域の行政ニーズに対応するもので、住民の普段の生活からは、やや遠い存在である。一方、市町村は、住民にとって身近な存在だ。転出転入や、順民税、年金、国民健康保険関連の基本的な行政事務は、市町村が行う。ただ、市町村は、規模がまちまちであり、規模によって、実際に担う役割は異なる。

 地方自治法によれば、市町村は規模・能力に応じて補完事務を行う。人口が多ければ、専門職を経済的にも雇用することが可能である。例えば、建築基準法では、人口25万人以上の市は建築主事を置き建築確認事務を行う。実際、市町村といっても、数千人の村から、政令指定都市を除くと、市で70万人程度まで、非常に差がある。

 そこで、とりあえず人口20〜40万人くらいの市を念頭において、どんなことが行われているかを見てみる。衆議院の小選挙区が大体このぐらいの範囲なので住民が地域として親しみを持つほどよい範囲ではないかと思われる。

 それでは、日経パソコンe都市ランキングで、2619自治体中、1位になった神奈川県藤沢市を見てみよう。藤沢市の人口は約40万人で、市の中では、人口が多い方である。ランキングは、セキュリティ対策、アクセシビリティに配慮したWebページなどで、総合的に判断され、1位になっている。藤沢市のWebサイト( http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/ )は、メニュー構成を見ればわかるように、暮らしが中心になっている。また、電縁都市ふじさわの名前で、電子会議室もあり盛んである。

 藤沢市のページで面白いのは、広告を募集していることだ。1枠につき月額3万円である( http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/jyouhou/page100041.shtml )。これは、市町村のレベルでは、民間と行政サービスが、近いことの象徴ともいえる。官邸のトップページに広告募集は考えられないだろう。

 市町村は、もちろん行政サービスを行うのが基礎的な役割だ。住民票の登録や、選挙などの明らかな行政サービス、そして保健所や、児童相談所、福祉施設などの公的機関が受け持つべきサービスも行っている。しかし、公民館や、市営のテニスコート、プールなどは、公的機関が行う必要のあるものだろうか? 貸し会議室、商業施設内のプールなど、似たようなものが、市場経済のもとで問題なく提供されている。これは、公的な自治体の役割は、なんであるかという問題であり、公設民営化や、自治体業務のアウトソーシングのキーワードで最近語られている。
 電子自治体の意味も、市町村においては、この民営か公営かの議論を踏まえて、ごく簡単ではあるが述べてゆく。


●電子自治体業務のアウトソーシング セキュリティの確保された決済

 インターネット上で情報提供をする電子自治体の基本的な機能は、もはや、地理的に市町村の中にある必要はなくなっている。窓口業務の場合には、当然その市町村の中にある必要があるが、市町村のホームページは、理屈の上では、ホームページの情報を置いてあるサーバは、日本国内にある必要すらない。そういう意味で、インターネット上の情報提供は、アウトソーシングになじむと言える。

 また、セキュリティ上もアウトソーシングにはメリットがある。高度のセキュリティ情報が必要とされるインターネット上のサーバ管理は、市町村の情報システム部門で対応できるレベルをはるかに超えている。特に対外的に公開するホームページの場合には、外部からのさまざまな攻撃が想定されるので、高度なセキュリティに守られ、なおかつ低価格なデータセンターへのアウトソーシングは必須だろう。また、インターネットに慣れた住民からすれば、窓口での手続きは、電子化されインターネット上で済ませられればありがたいはずである。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec

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