利用者から見た電子自治体、電子政府(11)〜都道府県のレベル(何が行われ、今度どうなるのか) | ScanNetSecurity
2024.04.24(水)

利用者から見た電子自治体、電子政府(11)〜都道府県のレベル(何が行われ、今度どうなるのか)

●都道府県の役割

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●都道府県の役割

 国全体にかかわる国防、特許、法律、教育などの行政サービスは、国が行う。一方、住民の普段の生活に直接かかわる行政サービスは、市町村の守備範囲である。だとすると、都道府県の役割はどうなるのだろうか? インターネットを使っている人でも、時々国のデータベースを見ることや、市町村の図書館を検索することはよくあるが、都道府県のホームページを閲覧することはそれほど多くはないだろう。都道府県の役割は、地方自治法2条によれば、

*『広域にわたる事務』(例)地方の大規模な総合開発計画の策定、主要な統計調査、治山治水事業、電源開発、公衆衛生の水準の維持、広範囲な環境保全整備
*『市町村に関する連絡調整に関する事務』(例)国等や都道府県等と市町村との間の連絡調整、市町村相互間の連絡・連携・調整等
*『その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められる事務』(例)規模が大きいため、大きな財政カを必要とする事務、性質上、高度な技術力や専門的な能カを必要とする事務

になる。これらを電子自治体、電子政府という文脈でみると、個々の市町村が電子自治体に関してバラバラに行っているとコストが増してしまう事務が、都道府県の守備範囲になるはずである。

 まず動きが見られるものには、電子自治体で使用するシステムの構築がある。その中でも特にセキュリティシステムに関しては、本来は、国がポリシーを決めて、各都道府県のレベルで、市町村に対してセキュリティのシステムを提供するのがよいはずである。セキュリティシステムは、北海道と沖縄で違いはない。気温によって、インターネットのセキュリティシステムが違うということはないだろう。

 一方、電子自治体のシステムそのものは、都道府県の置かれる状況に応じて、微妙に差異はありえるだろう。実際、都道府県のホームページを見るだけでも、構造がかなり異なっている。

 少し都道府県別のページの差異について見てみよう。石川県のホームページ( http://www.pref.ishikawa.jp/ )にロシア語対応ページがある。それから、クマ情報がある。まさに場所柄である。地方分権を前面に押し出した岩手県のホームページ( http://www.pref.iwate.jp/ )も主張がはっきりしており印象に残る。47都道府県を見て、つくりがかなり違うと思ったのは、栃木県のホームページ( http://www.pref.tochigi.jp/ )である。見た目がまずシンプルですっきりしている。トップページに文字の多い他の都道府県のトップページとは違う印象を与えている。また、「初めての方はこちら」という目立つナビゲーションがあるので、ページ構築もそれなりのポリシーを持って制作している。ホームページはコンテンツよりも情報システムなので、地域によって差異はかなりあるといえる。ただ、そのホームページコンテンツをつくるシステムは、地域差はそれほどないといえる。


●システム構築

 電子自治体のシステム構築は、都道府県によってカスマイズの必要はあるだろうが、基本的な部分は同じで、コンテンツよりも差異は少ない。そこで、似たようなシステムを重複開発するのは、無駄である。電子自治体にシステムを売り込むビジネスレベルでも、協力が起こっている。

 日本経済新聞の2004年10月26日朝刊の記事「電子自治体システム基盤、共通化、15社連携――投資負担軽減」によれば、15社は、協力してシステム構築を行い、「『電子自治体アプリケーション・シェア推進協議会』(仮称)」の活動支援をする。この協議会には宮城、福岡、和歌山、佐賀、徳島、熊本、岩手の各県と上越市(新潟県)が参加予定である。電子自治体のシステムに関しては、都道府県が足並みをあわせて開発してきたわけではないが、さらなる開発にはコストがかかるので、共同してシステム構築をしようとする動きがいくつかでてきている。これはそのひとつである。

 協議会は、大規模な開発の例であるが、無料でポータルサイトを簡単に構築できるオープンソースも使われはじめている。普及しているオープンソースのシステムなら安心して使えるので、県レベル、市町村レベルに普及している事例がある。以前に紹介した高知県の公式ホームページである。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec

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