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2017.09.21(木)

利用者から見た電子自治体、電子政府(10) 〜国のレベル(何が行われ、今度どうなるのか)

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●デジタル情報は、国、都道府県、市町村にまたがる。

 今まで、電子自治体と電子政府をあまり区別しないで扱ってきたけれども、ここで、国、都道府県、市町村を区別して別の切り口から、電子自治体、電子政府について述べてゆく。

 電子化つまりデジタルシステムでは、市町村ごとがバラバラのシステムをとっているよりも、国全体で統一的なシステムを採用した方がよい場合がある。従来は市町村で自由に行うことでも、標準化がありえる。大雑把にいって、電子政府の標準化においては、国が主導権をとり、コンテンツに関しては、各都道府県、市町村が多様な情報を作り出すのが効率的である。

 また、特にセキュリティに関するシステムは、政府が使いやすくかつ効果的なシステムを提案することが好ましい。セキュリティに関する知識は、特殊なもので、地域多様性とは関係ない知識だからだ。それから、市町村が実験的に何か新しい情報化の試みをするとそれを、全国展開するのも、電子化された情報ならはるかに容易である。構造改革特区ではないが、成功を全国に普及することも可能なのである。これは、デジタル情報というよりは、情報そのものがもつ複製が容易にできるという性質から来る。簡単に言えば、よい情報は、国、都道府県、市町村問わず、流通して、住民や国民に利益をもたらすはずである。実際は、よい情報がどんどん流通するというところまでまだまだだろう。まだ何がよい情報なのかがまだあまりよくわかっていないのだ。

 そして、情報の持つ本質からして市場経済になじまず、自治体、政府の守備範囲のものが多い。情報は、複製しても減らないものであり、もともと一個売ったらいくらもらうという実物ベースの市場経済体制にはそぐわないものである。売った一個から、どんどん複製ができてしまうからだ。また、情報を自然科学の知識というレベルでみれば、人類共有の財産であって、これまた市場経済にそぐわない。税金というかたちで、情報生成の費用を集めて、その成果たる価値ある情報を無償で国民に還元するのは十分に意味ある。

 電子自治体、電子政府の仕組みが進展するに従って、こういった情報とは何かが少しづつ見えてきている。では、国のレベルで何が行われ、今度どうなるのかをとりあえずわかりやすい予算という切り口で見てみよう。


●国家予算から見ると 社会保障、公共事業、文教(科学振興含む)が主な予 算内容

 国が何をやっているかは、国家予算を見れば、大雑把にわかる。平成16年度の予算を見てみよう( http://www.mof.go.jp/seifuan16/yosan.htm )。
 国債費、地方交付税など国の活動を見るには関係のない項目を除いて金額の多い項目から見てみよう。金額が大きいものは、社会保障、公共事業、文教および科学技術振興費、防衛費である。防衛費は、利用者から見た電子自治体、電子政府という点からははずれるので、残りの3つについて、簡単に述べてゆく。社会保障費は、予算のほぼ40%を占める(国債費、地方交付税を除いた予算のうち)。この金額の有効な使い道として、電子政府的に使われているものを、ごく一部であるが紹介する。

 まず、社会保障から見てゆく。社会保障費に含まれるものには、医療費も含まれる。そこで、国民の健康を増進するために電子政府予算が有効に使われる例を見てみよう。健康増進で社会保障費が削減することは、国にとって重要課題である。生活習慣病による医療費をおさえるために、健康日本21( http://www.kenkounippon21.gr.jp/ )というサイトがあがっている。これは、健康の目標値をあげているサイトなので、一般の利用者が見るとはあまり思われないが、政策を知るにはいいサイトである。政策動向を知ってビジネスに役立てたり、学問的な調査、研究するときの指針にはなる。

 ただ、一般の国民とっては、もっと情報が細かく具体的になっている必要がある。また、単純に健康に関する情報ならば、Web上にいくらでもあり、書籍もたくさんでている。政府が同様の情報をパンフレット的に提供をしても、意味がない。そこで政府の提供する情報で着目できる例として、国立健康・栄養研究所( http://www.nih.go.jp/eiken/ )がある。まず、効果のない健康食品にだまされないようにするための情報を提供している。「健康食品」の安全性、有効性情報( http://hfnet.nih.go.jp/main.php )がそれである。このサイトは、マスコミでよく報道されているので、ご存知の方も多いだろう。かなりつっこんだ内容になっており、健康食品業者から見るとかなり困った内容ではある。しかし、国民の健康という観点からは、有効性のない健康食品を購入させることは無駄なことであり、こういった種類の情報提供は、まさに、国家がやるべきものである。また、利用者にとって非常に価値のある情報である。また、インターネット上で公開することにより、より適切なタイミングで、多くの国民に情報入手可能になった。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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