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2017.11.21(火)

PKI入門(10) 公的個人認証 実施ははじまったけれども

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 PKIの普及は、プライベートCAの利用がすすみはじめているが、政府主導ですすめられている大規模なプロジェクトがある。それは、公的個人認証だ。住民基本台帳ネットワーク( http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/daityo/juki_card.html )で使うICカード(住民基本台帳カード略して、以下、住基カード)がある。この住基カードにPKIの秘密鍵と公開鍵のペアを生成して格納して、さらに公的な証明書をつけたものが、公的個人認証だ。公的個人認証を使って、税金をはじめとする各種の政府関連の申告などが今後できるようになるとされている。
政府は、2006年度までに、1000万枚の電子証明書が発行されると試算している( http://www.hyogo-it.org/html/tmp/ref_top/ref_031021-2.pdf )。

 公的個人認証の証明書の発行は、2004年1月29日からはじまった。上記試算によるとすごい数のICカードが出回ることになるが、実際はどうなのだろう。まず、公的個人認証は、住基カードの発行が前提となる。法律的には、住基カードでなくても格納できるが、事実上、住基カード以外に公的個人認証の証明書が格納されることはないだろう。まず、そこで、住基カードがどのくらい発行されているかが、重要だ。

 新聞報道によれば( http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/05/13/20040513ddn001040003000c.html )2003年度で、住基カードの発行枚数は、84万枚とされているが、正確な数字ではなく、もっと少ないという調査もでている。ただ、この84万枚にしても、初年度の発行見込みが、300万枚だったので、それよりもずっと少ないといえる。

 公的個人認証の前提となる住基カードの普及がこの程度なので、2006年度で1000万枚というのは非常に難しいだろう。実際に私も公的個人認証をつくった時に自治体の職員の人に聞いたら、3月末の時点で、10人程度だったといっている。人口が16万人の自治体での話だ。2ヶ月でこの数字である。計算を単純にして、公的個人認証をとる人が、どのくらいいるか予測してみよう。少々甘く計算して上記の私のいた自治体の統計から人口1万人あたり2ヶ月で1人申し込むと仮定しよう。日本の人口を1億20000万人として、2006年度末には、120,000,000÷10,000×20=240,000になる。この予想がある程度正しいとすると、当初の予想の1000万枚からするとかなり少ない試算結果になる。

 しかし、これは、現状のペースで住基カードと公的個人認証が発行されているという前提である。現状、住基カードは、あまり役立たないものだ。つくる必然性がほとんどないものといえる。顔つきの身分証明書を持っていない人が身分証明書のかわりにつくる程度の用途しかない。つくるとすると公的個人認証の証明書格納のためにつくるのが、その主たる目的になるはずだ。その公的個人認証も、各種申告に利用できるはずなのだが、まだ現時点では、事実上、サービスをほとんど受けられない状態にある。従って現時点で、公的個人認証を申し込む必然性が、ほとんどの人にとって存在しないのである。

 総務省の「公的個人認証サービスについて」( http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/kojinninshou.htm )というページの情報によれば、2004年6月から、国税電子申告が全国展開されているというが、実際に国税申告した数はどのくらいなのだろう。インターネット上でやってみましたという書き込みを現時点(2004年6月)ではまだ見たことがない。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec

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