約5年におよぶ刑期を経て1月に出所した悪名高きハッカーKevin Mitnick氏(37歳)は、情報セキュリティ・コンサルタントとして再スタートを切った。自身のコンピュータ・スキルを役立てたいというのが同氏の希望のようだ。 Mitnick氏は先週(9月第3週)、Giga Information Group社主催の電子ビジネス関連の会議で企業のIT管理者に対し様々な助言を与え、コンサルタント業を本格的に開始した。同氏は講演で、従業員をだましてパスワードや他の機密情報を聞き出すハッカーの手口を明かし、IT管理者に警戒するよう呼びかけた。そして「人間が最大の弱点である」と述べた。 基調講演後の質疑応答で同氏は「今後は、私の持っている専門知識を多くの人のために役立てたい。私はこれまで裏の世界にいたので、その特殊性を活かした独自の観点でアドバイスを与えることができる」と述べた。 また同氏は、多数のセキュリティ関連企業から就職の誘いがあったことを認めた。しかし、コンピュータの使用が禁じられている他、カリフォルニア中央部からの移動も認められていないなど保護観察局が規定した条件が厳しいため、同氏の仕事は大幅に制限されている。さらに、今回のGiga主催による講演を含め、同氏が行う全ての仕事は連邦保護観察局の許可が必要となる。 Mitnick氏は「ハッキングを行ったのは好奇心からで悪意はなかった。チャレンジするスリルを楽しんでいただけだ」とし、罰則が不当に厳しいものであると訴えた。 Ingram Micro社の開発担当副社長Gary Strohm氏は、Mitnick氏の基調講演に感銘を受けたとし「世界で最も有名なハッカーのアドバイスを会社に持ち帰り、セキュリティ意識の向上に役立てたい」と述べた。