BBCは7月3日、ハッカーが米国や英国のコンピュータ防御網をどのような手法で破るのかを検証した番組『サイバー攻撃』の中で、スペースシャトルがハッカーの攻撃に晒されていたと報じた。その事件は、1997年にスペースシャトルがロシアの宇宙ステーション“ミール”とドッキングしていた時、ハッカーが通信を妨害したためシャトル乗組員は米航空宇宙局(NASA)との交信にロシアの宇宙ステーションを使わざるを得なかった、というものだ。それに対し、NASAの広報担当Bob Jacobs氏は「地上管制官と宇宙飛行士の交信が絶たれたことはない。そのような事は起こり得ない」と言下に否定し、さらに宇宙飛行士が通信を行うためロシアの宇宙ステーションを使用したこともない、と付け加えた。 しかしJacobs氏は、宇宙飛行士の医学的データを地上のNASAコンピュータ・システムに伝送にする際、ハッカーにより遅延が発生したことは認めた。しかし、バックアップ・システムがその問題を解決し、医学的データは無事シャトルから別の場所に送信されたと述べた。そして「ハッカーは絶えずNASAのコンピュータ・システムに侵入しようとしているが、ミッションの際の重要なコンピュータ・システムは通信ネットワークとは切り離されている」とし、現在この事件を起こしたハッカーを突きとめるべく捜査中であると語った。NASAは昨年(1999年)一年間で約50万回のハッカー攻撃を受けたという。