2020年11月の株式会社SHIFT SECURITY(シフトセキュリティ)- 脆弱性診断の標準化企業 | ScanNetSecurity
2025.02.28(金)

2020年11月の株式会社SHIFT SECURITY(シフトセキュリティ)- 脆弱性診断の標準化企業

株式会社SHIFT SECURITY(シフトセキュリティ)

 「JVN への脆弱性報告の件数や深刻度」「国内外で開催されるセキュリティ競技会 CTF の戦績」「GAFAM、Cybozu、LINE などが行うバグバウンティへの報告件数とその賞金額」

 以上の分野で成果を出すハッカー(ここでは抜群に優れたセンスと集中力、判断力を持つ技術者全般を指す)の存在を、提供サービスの水準と品質の根拠のひとつとする脆弱性診断サービスを、株式会社SHIFT SECURITY は冷静に「ハッカー型診断」と呼ぶ。それに対して SHIFT SECURITY が提供する診断サービスは「標準化された脆弱性診断」。

 標準化とは誰がやっても必ず毎回同じ結果が出ることを保証すること。ハッカーとは地球上でその技術者にしかできない真実の瞬間を徹底的に追い求めること。「安全な世界」という目指すところは同じでも正反対のアプローチであり、それぞれに異なる世界観のロマンが存在する。

 「誰が担当しても差がない品質」「半年一年といった待ち行列のないサービスデリバリー」を提供することができた標準化診断サービスは、DX 時代に爆発した国内の診断需要にマッチして事業を急拡大させた。

 SHIFT SECURITY が創業時に掲げた夢物語ともいえる目標は「完全診断未経験者」のみを採用し、業界にそびえ立つ診断産業の雄 LAC の売り上げ規模を抜くこと。

 東証プライム上場企業 株式会社SHIFT のグループ企業であるため開示されている数値はないものの、SHIFT SECURITY 及び同社と緊密な連携関係にある宮崎県のサイバーセキュリティベンチャー企業 株式会社クラフ(双方 SHIFT グループ企業)と業績を連結すれば、もはや夢物語とも言えないフェーズに至っている可能性は高い。

 2022年、SHIFT SECURITY とクラフは協同して、今度は「正反対」ではなく「斜め上」の奇策に出る。脆弱性管理プラットフォーム「S4(エスフォー)」を開発し、中小企業向けに Free Forever(永遠に無料)で提供するという社会貢献的試みだ。

 Tenable のような脆弱性管理のハイエンド製品と比べれば機能は限定的ではあるものの、そもそもこれまでほぼ全く手当がなされていなかった「日本の中小企業のセキュリティ」の向上を図ろうとするプロジェクトである。お金を一銭ももらわずに。

 翌 2023 年、株式会社クラフは、未経験者採用のみで地方(宮崎県)に約 150 名のサイバーセキュリティ産業の雇用を創出したことなどが評価され、日本のサイバーセキュリティ企業として初の事例となる、公益性の高い企業に与えられる国際認証「B Corporation」に認証された。

 脆弱性診断業界に「完全未経験」という真水を注ぎ込み、さらに「社会貢献」という新風を吹き込む SHIFT SECURITY は、ハッカー型診断のフォーマットを 20 年前に日本で最初期に作りあげた企業、CDI の出身者によって創業されている。

S4(エスフォー)とは?

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