大企業やグローバル企業、金融、社会インフラ、中央官公庁、ITプラットフォーマなどの組織で、情報システム部門や CSIRT、SOC、経営企画部門などで現場の運用管理や、各種責任者、事業部長、執行役員、取締役、またはセキュリティコンサルタントやリサーチャーに向けて、毎月第一営業日前後をめどに、前月に起こったセキュリティ重要事象のふり返りを行う際の参考資料として活用いただくことを目的に、株式会社サイント代表取締役 兼 脅威分析統括責任者 岩井 博樹 氏の分析による「Scan PREMIUM Monthly Executive Summary」をお届けします。なお、「総括」以外の各論は、本日朝配信の Scan PREMIUM 会員向けメールマガジンに掲載しています。
>>Scan PREMIUM Monthly Executive Summary 執筆者に聞く内容と執筆方針
>>岩井氏 インタビュー記事「軍隊のない国家ニッポンに立ち上げるサイバー脅威インテリジェンスサービス」
【前月総括】
5 月は米軍をはじめ、複数国において合同演習が実施された影響でサイバー攻撃の増加が懸念されましたが、目立った攻撃キャンペーンは報告されていません。関連して、6 月は、米軍の太平洋地域での大規模演習「バリアント・シールド」(6 月 7 日~ 18 日)の実施が控えています。本演習は、日本の自衛隊が関与することが報じられていますので、先月以上に中国や北朝鮮の APT グループによるサイバー諜報活動が予想されます。
気になる脅威動向ですが、イラン情報安全保障省に所属するとされるハッカーグループ「Void Manticore」によるイスラエルへの攻撃が報告されています。このグループは、これまでに「Homeland Justice」や「Karma」など複数のペルソナを利用していたことが指摘されており、イスラエルの他にアルバニアへの攻撃も報告されています。同グループは、ワイパーマルウェアを悪用し、標的組織のシステムを破壊するだけでなく、窃取した情報をインターネット上に公開することで知られています。
イランは親日国と言われていますが、上述の米軍主催の演習への自衛隊の初参加により、イランの脅威アクターがどのような反応を示すのかは興味深いところです。現地メディアは特段、日本には触れていませんでしたので、無反応の可能性が高いかもしれませんが…。