国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、国立大学法人大阪大学は11月30日、人が心の中で思い描いた任意の風景・物体などの「メンタルイメージ」を脳信号から読み出し、復元することに成功したと発表した。
実際に画像を見ている人の脳の活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で計測し、その脳信号から見ている画像を復元できることは先行研究で示されていたが、メンタルイメージの復元は従来の方法では難しく、アルファベットの文字や単純な幾何学図形などの限られた種類の画像でしか成功していなかった。
研究チームでは、目で見ている画像の復元に成功した既存の手法をベースにしながら、生成系AIとベイズ推定、ランジュバン動力学法を組み合わせた新手法を開発し、画像の種類を限定することなく、人が心の中に思い描いたイメージを復元することに世界で初めて成功したとのこと。
メンタルイメージの復元は、他者の心の中にある認知や意識を客観的・定量的に捉える手段を提供するもので、将来的には「心とは何か」の理解や、メンタルイメージを用いた新たなコミュニケーションツール開発、ブレイン・マシン・インターフェース技術の開発と医療機器への展開が期待できる。
同研究は2023年11月27日に、国際誌『Neural Networks』に「Mental image reconstruction from human brain activity: Neural decoding of mental imagery via deep neural network-based Bayesian estimation」のタイトルでオンライン掲載されている。