大企業やグローバル企業、金融、社会インフラ、中央官公庁、ITプラットフォーマなどの組織で、情報システム部門や CSIRT、SOC、経営企画部門などで現場の運用管理や、各種責任者、事業部長、執行役員、取締役、またはセキュリティコンサルタントやリサーチャーに向けて、毎月第一営業日前後をめどに、前月に起こったセキュリティ重要事象のふり返りを行う際の参考資料として活用いただくことを目的に、株式会社サイント代表取締役 兼 脅威分析統括責任者 岩井 博樹 氏の分析による「Scan PREMIUM Monthly Executive Summary」をお届けします。なお、「前月総括」以外の各論は、Scan PREMIUM 会員向けメールマガジンに掲載・配信しています。
>>Scan PREMIUM Monthly Executive Summary 執筆者に聞く内容と執筆方針
>>岩井氏 インタビュー記事「軍隊のない国家ニッポンに立ち上げるサイバー脅威インテリジェンスサービス」
●前月総括
5 月 19 日に G7 広島サミットを控え、サイバー攻撃の増加が懸念される 4 月でしたが、大事に至るインシデントの報道はありませんでした。また、ロシアやウクライナに関連したテーマでのサイバー攻撃は、欧州を中心に複数確認されており、情報収集を目的とした攻撃キャンペーンは実施されています。日本でも情報収集を目的としているとみられる攻撃が散見されており、サイバー空間は社会情勢と同様に余談を許さない状況です。
米 FBI による中国公安部による影響工作の関係者の逮捕や訴追が相次いで発表されました。そのひとつは、「912专项工作組」(912特別プロジェクト・ワーキンググループ)に所属する 34 人の訴追に関するもので、ソーシャルメディアプラットフォームに大量の偽アカウントを作成し、偽情報や嫌がらせの言動をまき散らす大規模なトロールファームをオンライン上に運営していたといいます。加えて、関連報道として、ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウンで中国の秘密警察の出先機関を運営していたとして、同市在住の男性 2 人が逮捕されたことが報じられています。中国による影響工作や所謂「国境を越えた抑圧と強要」の活動範囲は確実に拡大しているものとみられます。