地政学リスクが日本企業のIT調達に影響 | ScanNetSecurity
2024.07.27(土)

地政学リスクが日本企業のIT調達に影響

 ガートナージャパン株式会社は8月4日、地政学リスクが今後の日本企業によるソフトウェア/クラウド・サービス等のIT調達に重大な影響を及ぼすとの見解を発表した。

調査・レポート・白書・ガイドライン

 ガートナージャパン株式会社は8月4日、地政学リスクが今後の日本企業によるソフトウェア/クラウド・サービス等のIT調達に重大な影響を及ぼすとの見解を発表した。

 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、地政学リスクが改めて注目されているが、ガートナーでは日本企業が利用するSaaSやIaaSといったクラウド・サービスや、ERP等の業務ソフトウェアの多くが海外ベンダー製であることや、日本企業の海外拠点のITシステムが現地のITベンダーの支援を受けていることを挙げ、地政学リスクの影響は免れられないと警鐘を鳴らしている。

 ガートナーのアナリストでバイスプレジデントの海老名剛氏は、「ソフトウェアやクラウド・サービスを調達する際には、自社に及ぼす影響を予め評価し、ベンダーと必要な交渉をすべき」と述べ、影響を評価する際の観点として、以下の3つを挙げている。

・コスト
円安を理由にベンダーから値上げを通告されるソフトウェア/クラウド・サービスのユーザー企業が増えており、円安に歯止めがかかったとしても、物価上昇を背景とする価格上昇が続く可能性がある。

・データ保護
中国はもとより欧州や米国、日本でも、情報資産を保護するために国外への重要データの持ち出しを規制する機運が高まっており、データセンターが複数の主要国に分散されていることで、国によってはユーザー企業であってもデータの持ち出しや地域間のデータ・アクセスが制限される場合がある。

・バージョンアップ/サポート
特定地域でのベンダーの開発/サポート・エンジニアの撤退や、それに伴うサービス・レベルの低下が懸念される。

 ガートナーでは、「2025年までに、50%以上のソフトウェア・ユーザー企業は、『地政学的』な要因を背景とする契約コストの増加やコンプライアンス違反のリスクにさらされる」と仮説を立てている。

《ScanNetSecurity》

編集部おすすめの記事

特集

調査・レポート・白書・ガイドライン アクセスランキング

  1. 警察庁 2022年サイバー空間をめぐる脅威公表、ランサムウェア被害右肩上がり

    警察庁 2022年サイバー空間をめぐる脅威公表、ランサムウェア被害右肩上がり

  2. 少年の非行について直接の原因・動機は「所有・消費目的」が67.0%で最多(警察庁)

    少年の非行について直接の原因・動機は「所有・消費目的」が67.0%で最多(警察庁)

  3. 迷惑メール対策推進協議会「送信ドメイン認証技術 DMARC導入ガイドライン」公表

    迷惑メール対策推進協議会「送信ドメイン認証技術 DMARC導入ガイドライン」公表

  4. 取締役や幹部への罰金 禁固 罷免 解雇 ~ サイバー攻撃後の被処罰最多は APJ 地域

  5. 1,952 社から 9,208 件の報告 ~ 2023年度 Pマーク付与事業者の個人情報取扱いにおける事故

  6. 金融機関は p=reject 設定が多い ~ TwoFive「国内DMARC統計とその傾向 2024年7月版」

  7. JIPDEC「個人情報取扱い事故報告」2022年版、最多原因「手順やルールに違反した作業や操作」

  8. JNSA 2023 十大ニュース ~ 富士通への行政指導や名古屋港のランサムウェア感染、元派遣社員による持ち出し等

  9. 7月のフィッシング報告状況、「.cn ドメイン」のフィッシングメールを多く確認

  10. 敵対的 AI 対抗で「侵入前提」から「予防優先」に転換

アクセスランキングをもっと見る

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×