一般社団法人 JPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)は7月14日、2022年4月1日から6月30日までの四半期における「インシデント報告対応レポート」を公開した。
同レポートによると、同四半期にJPCERT/CCに寄せられたインシデント報告件数は16,714件で、前四半期(16,188件)から微増している。
同四半期のインシデントの内訳は「フィッシングサイト」が71.8%、「スキャン」が13.9%となった。フィッシングサイトの報告件数は8,088件で、前四半期の6,820件から18.6%の増加に、前年度同期(4,841件)からは67%の増加となっている。内訳では、国内のブランドを装ったフィッシングサイトの件数は5,523件で前四半期の4,196件から32%増加、国外のブランドを装ったフィッシングサイトの件数は1,931件となり、前四半期の2,043件から5%減少している。
標的型攻撃に分類されるインシデントの件数は2件で、確認されたインシデントは下記の通り。
1.不正なショートカットファイルまたは ISO ファイルをダウンロードさせる攻撃
メール本文中のリンクを開かせて、不正なショートカットファイルが格納された ZIP ファイル、または ISO ファイルをダウンロードさせようとする標的型攻撃を確認している。
不正なショートカットファイルは、Word 文書のテンプレートファイルをダウンロードし、Microsoft Word のスタートアップフォルダに保存される。ダウンロードされたテンプレートファイルには、外部から新たにファイルをダウンロードするマクロが含まれ、次回以降 Word ファイルを開く際に動作する仕組みとなっていた。
ISO ファイルには、正規の Microsoft Word アプリケーションと不正な DLL ファイルが含まれ、この Microsoft Word を起動すると、DLL サイドローディングにより不正な DLL ファイルが読み込まれ、不審な通信が発生する挙動が確認されている。
2.BIG-IP の脆弱性(CVE-2022-1388)を利用した攻撃
BIG-IP の脆弱性によって、デバイス上に Web シェルを設置されたり、コンテンツを窃取されたりする事例を複数確認している。