国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は3月17日、サイバーセキュリティ研究所セキュリティ基盤研究室で開発したプライバシー保護連合学習技術「DeepProtect」を、株式会社イエラエセキュリティに技術移転すると発表した。
NICTが開発した「DeepProtect」は、フェデレーテッドラーニング(連合学習)技術に独自の暗号技術を融合し、パーソナルデータなど機密性の高いデータを互いに開示することなく安全に深層学習を用いて解析できるプライバシー保護連合学習技術。
「DeepProtect」では、複数組織間で連合し深層学習を行う際に、組織外部に送信する情報(深層学習のパラメータ)を統計情報化し、加えて暗号化することで個人識別ができない状況で統合し、各組織の学習モデルの更新が可能となる。
NICTでは現在、「DeepProtect」を活用し金融分野における不正送金の自動検知システムの実現に向けた実証実験を進める一方で、他の分野で広く応用するため、本技術の社会実装を行うパートナーを探していた。
イエラエセキュリティに対し、「DeepProtect」に関する知的財産権をライセンスし技術移転することで、プライバシー保護連合学習技術のビジネス利用に向け環境構築・技術支援を実施する体制が整い、医療、マーケティング等の多様な業種の企業等が、データの安全性を確保しつつ複数組織間で連合して深層学習を活用し、様々な社会課題の解決が容易になると推測される。
イエラエセキュリティでは今後、スマート社会実現に向けて複数組織間でのデータ利活用のユースケースに応じた最適なソリューションを提供し、プライバシー保護連合学習技術のビジネス化を推進する。