「Cybersecurity for All」でなく「Cybersecurity by All」を、経団連が政府に提言 | ScanNetSecurity
2024.04.27(土)

「Cybersecurity for All」でなく「Cybersecurity by All」を、経団連が政府に提言

経団連は、「全員参加によるサイバーセキュリティの実現に向けて」と題する提言を発表した。政府が発表したサイバーセキュリティに関する次期戦略骨子を受けた提言となっている。

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 一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)は7月13日、「全員参加によるサイバーセキュリティの実現に向けて」と題する提言を発表した。政府が発表したサイバーセキュリティに関する次期戦略骨子を受けた提言となっている。

 次期戦略骨子では、「Cybersecurity for All~誰も取り残さないサイバーセキュリティ~」というコンセプトのもと、「『自由、公正かつ安全なサイバー空間』の確保」を目指す方向性を示した。

 経団連は、この方向性には賛同するものの、我が国全体のサイバーセキュリティの強化にあたっては「Cybersecurity for All」だけでなく、誰もが主体的に危機意識を持って取り組む「Cybersecurity by All」が重要であるとしている。同提言では、全員参加によるサイバーセキュリティの実現に向けた方策をまとめている。

 方策は、「各主体が果たすべき役割」「人材育成・研究開発力強化」「社会の変化に対応した取り組みの推進」の3つの視点からまとめられている。

 各主体が果たすべき役割には「国による率先垂範」「サイバーセキュリティ経営のさらなる推進」「サプライチェーン全体での取り組み強化」「官民一体での社会風土醸成」を挙げており、国が率先垂範してサイバーセキュリティに取り組み、企業や地方公共団体が国を参考に対策できることが理想とした。また、社会風土醸成では「被害者を過度に責めない」風土が必要としている。

 人材育成・研究開発力強化では、「全員参加の人材教育」「産業・国際競争力の強化」「サイバー空間の信頼性確保への貢献」を挙げている。人材教育では、特にセキュリティリテラシー教育が重要としている。

 社会の変化に対応した取り組みの推進では、「連携の強化」「重要インフラの分野の相互依存関係の分析および新規分野の追加」「既存制度の検証」を挙げている。連携の強化は、被害発生時の迅速な情報共有・対処を可能とする体制の構築や、サイバー攻撃の予測・特定・対処能力の強化を挙げた。

 サイバー空間とフィジカル空間の垣根が低くなり、サイバー空間にも地政学的緊張が波及している中で、サイバーセキュリティの重要性はますます増大している。サイバーセキュリティはDXを推進し、Society 5.0を実現するための根幹であり、経団連ではサイバー空間の信頼性確保に向けて、引き続き取り組みを強化するとしている。
《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

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