>> Scan PREMIUM Monthly Executive Summary 執筆者に聞く内容と執筆方針
【1】前月総括
国内のサイバー情勢ですが、SSL VPN の脆弱性を悪用したサイバー攻撃が現在も継続しています。早急な該当製品の修正プログラムの適用は勿論のこと、正常に適用できているかの確認も含めて実施してください。
国内でのインシデントですが、塩野義製薬の台湾現地法人が REvil ランサムウェアギャングにサイバー攻撃を受け、二重脅迫ランサムウェアによる被害を受けていることが発覚しました。一向に対策方法が見つからない二重脅迫ランサムウェア被害ですが、まずは情報漏洩時でも慌てないように、データ保護策は怠らないようにしたいものです。なお、同社は新型コロナウイルスのワクチン開発への取り組みを公表していますが、本件との関係性は不明です。
海外情勢ですが、米大統領選挙を 11 月 3 日に控えていたためか、政治的背景と関連したサイバー攻撃報道が多くみられています。米 CISA は、重要インフラや選挙支援システムへの攻撃に対するアドバイザリーを公開するなど注意を呼び掛けています。
また、米 FBI はロシア連邦軍参謀本部情報総局( GRU )の関係者 6 名を、2018 年冬季オリンピックでサイバー攻撃を行ったとして起訴しました。これにあわせ、英国家サイバーセキュリティセンター( NCSC )は、GRU が東京オリンピック・パラリンピックの関係組織や個人を攻撃していたと報じました。本報道では、詳細情報には触れられておらず、米英が足並みを揃えたようにも読み取れるものです。
現在、米国をはじめとし、日本でも中国による産業スパイへの危機感が強まっています。日本では、積水化学工業の元従業員が SNS 経由で知り合った中国人スパイに同社の機微情報を漏洩していたことが発覚したばかりです。このような事件に対し、米 FBI は中国のスパイに対する啓発ビデオを公開しました。海外からの移住者が増える一方の日本において、これらの脅威が身近にあることは、各組織のセキュリティ教育に盛り込んでおきたいテーマです。