国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、日本電気株式会社(NEC)、株式会社東芝は7月2日、3社が開発してきた量子鍵配送ネットワーク技術の成果を盛り込んだ国際標準勧告が、6月28日にジュネーブにて開催された「ITU-T SG13会合」にて、Y.3800(量子鍵配送をサポートするネットワークのフレームワーク)勧告として承認されたと発表した。この勧告は、量子鍵配送ネットワークの要求条件、および基本構成と機能などを規定する勧告で、量子鍵配送関連として初の国際標準化に向けたITU-T勧告となる。量子鍵配送(Quantum Key Distribution:QKD)は、光の量子力学的性質を用いることで、理論上いかなる計算能力を持つ第三者(盗聴者)にも情報を漏らすことなく暗号鍵を離れた2地点間で共有する方法のこと。日本では3社等が中心となり、世界最高性能のQKD装置を開発するとともに、2010年に構築した実証テストベッド「Tokyo QKD Network」上でネットワーク技術の開発、長期運用試験、さまざまなセキュリティアプリケーションの開発に取り組んできた。今回のY.3800の完成により、関連する標準化の検討が加速し、QKD関連の製品開発やサービス創出に向けて企業が投資しやすくなり、ユーザは導入を検討しやすくなると期待される。3社は引き続き国内外の企業や研究機関と協力し、QKD技術の研究開発と標準化に取り組みながら、安全・安心な社会の実現に貢献するとしている。