10月5日、ついにスタートしたマイナンバー制度。その後、全国各地でマイナンバー通知カードの配達が開始されるなど、徐々に国民の手に渡りはじめている。 ただ、マイナンバー制度に関する具体的な内容への理解や認識については、まだまだ浸透していないのも事実だ。そこで本コラムでは、制度に詳しい専門家が素朴な疑問に対して回答。今回は、税理士・ファイナンシャルプランナーの大黒たかのり氏が解説する。[質問]マイナンバーカードを紛失してしまったり、盗難に遭ってしまった場合、再発行できますか?また、写真はずっと同じですか?[回答&解説] マイナンバーカード、通知カードとも再発行が可能です。マイナンバーカードの初回の発行は当面無償ですが、再発行は有償です。マイナンバーは漏洩し、不正に使用される恐れがある場合を除いて、一生変わりませんが、写真は原則10年毎の更新制となっています。■知ってる?通知カードとマイナンバーカードの違い マイナンバーは、簡易書留で住民票のある住所に届きます。マイナンバーが記載された「通知カード」は、紙製のカードで、券面にはお住まいの市区町村の住民票に登録されている「氏名」「住所」「生年月日」「性別」と「マイナンバー」が記載されています。 一方、「マイナンバーカード」は、プラスチック製のICチップ付きカードのこと。券面に「氏名」、「住所」、「生年月日」、「性別」、「マイナンバー」と本人の「顔写真」が表示されます。記載内容はほぼ同じですが、マイナンバーカードは「顔写真」と「ICチップ付き」が特徴です。■マイナンバーカードは任意 通知カードは、全世帯に簡易書留で住民票のある住所に届きますが、マイナンバーカードは送られてきません。マイナンバーカードは、ほしい人だけが申請し、取得するものです。マイナンバー通知の簡易書留に同封されるものは下記のものです。・マイナンバーのご案内・通知カード(世帯全員分)・個人番号カード(マイナンバーカード)交付申請書(世帯全員分)・個人番号カード(マイナンバーカード)交付申請書の送付用封筒(1通につき1部) マイナンバーカードの交付を受けると通知カードは不要となりますので、交付時に返納することになります。■マイナンバーカードの申請方法 マイナンバーカードの申請方法は4つ。発行手数料は当面無料となっています。1:郵送による申請 マイナンバーカード交付申請書にご本人の顔写真を貼り、返信用封筒に入れて郵便ポストへ2:スマホによる申請 スマートフォンで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請3:パソコンによる申請 デジタルカメラで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請4:証明写真機からの申請 申請書を持参して、申請可能な街中の証明用写真機で顔写真を撮影して申請 マイナンバーカードの申請時には、同封の申請書のほか、顔写真の添付が必要です。使用する顔写真は直近6ヶ月以内に撮影した、サイズが縦4.5cm×横3.5cm、正面、無帽、無背景のものに限られます。 申請後、お住まいの市区町村から交付通知書が送付されます。交付通知書に記載された交付場所に下記の書類を持参します。・交付通知書・通知カード ※返納します・本人確認書類 交付窓口で本人確認の上、「暗証番号」を設定してから、カードが交付されます。■暗証番号 暗証番号は複数あります。1:署名用電子証明書 電子申告(e-Tax)などインターネット等で電子文書を作成・送信する際に使用します。2:利用者証明用電子証明書 行政のサイト(マイナポータル)へのログインやコンビニ交付サービス利用時に使用します。3:住民基本台帳・券面事項入力補助用 それぞれ数字4桁(上記の(2)と同じ暗証番号を設定することもできます)■マイナンバーカードの更新と再発行の手順 マイナンバーカードは更新制です。20歳未満は5年ごと、20歳以上は10年ごとです。ちなみに、通知カードには有効期限はありません。マイナンバーカードあるいは通知カードを紛失または盗難にあった場合、クレジットカードと同様にまずは一時利用停止をします。1:個人番号カードコールセンターに電話 地方公共団体情報システム機構(J-LIS: Japan Agency for Local Authority Information Systems)が開設した個人番号カードコールセンターに電話をして、一時利用停止申請をします。・個人番号カードコールセンター(全国共通ナビダイヤル)0570-783-578※平日8時30分~22時(平成28年4月1日以降は平日8時30分~17時30分) 、土日祝9時30分~17時30分 (平成28年3月31日まで)※年末年始を除く ※マイナンバーカードの一時利用停止については24時間365日受け付けます。2:警察に届出 警察署に「通知カード紛失届」を提出します。これは住所地を管轄する警察署で手続きが可能。「通知カード紛失届」を提出すると再申請に必要な「受理番号」が発行されます。3:再発行申請 通知カード、マインバーカードとも紛失などの場合、前述の「受理番号」持参のうえ、住んでいる市区町村で再交付申請をします。再交付手数料は未定ですが、通知カードは500円、マイナンバーカードは1,000円が基本となりそうです。■マイナンバーを変更できるケースとは? マイナンバーは引っ越したり、結婚で姓が変わっても一生変わりません。ただし、マイナンバーが漏えいして不正に使用される恐れがあると認められる場合に限り、本人の申請又は市町村長の職権により変更することができます。 マイナンバーは一元管理されていません。国税に関する情報は税務署に、児童手当や生活保護に関する情報は市役所に、年金に関する情報は年金事務所になど分散管理されます。仮に一か所でマイナンバーが漏えいしたとしても、個人情報が芋づる式に抜き出せない仕組みとなっています。●筆者プロフィール大黒たかのり(おおぐろ・たかのり):税理士・ファイナンシャルプランナー(東京都)。大学卒業後、会計事務所、運用会社を経て、2006年に大手町会計事務所を開業。現在、初心者に向けた資産運用、節税対策のほか、上場企業オーナーに対し、自社株対策や相続税対策を主に手がけている。