2011年3月11日に起きた東日本大震災では地上系通信設備の障害による多くの情報孤立地帯の発生と、それによる救援活動の初動遅れが問題となった。それらを課題としてNICT(情報通信研究機構)が研究を進めているのが、「小型無線飛行機を使用したワイヤレス中継伝送技術」だ。 NICTは、東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレスジャパン2015」にて、「小型無線飛行機を使用したワイヤレス中継伝送技術」として実際に使用した小型無人飛行機の展示や技術の紹介を行った。この技術を使うことで、小型無人飛行機が空飛ぶ電波塔として、災害時に被災者への通信手段を提供することを可能としている。 小型無人飛行機は高度300mから900mを飛行し、中継回線としては約400kbpsで2時間以上の連続通信を可能とする。被災地域以外にも、通信インフラを敷くことが難しい山岳部や離島間などでの活用も可能となる。 既に全国で多くの実証実験が行われており、災害医療現場での活用だけでなく、農業分野や害獣対策、放射線量モニタリングなどさまざまな用途を想定した検証が行われている。