【ITセキュリティ先端企業 対談シリーズ3】AGC旭硝子が語る、サイバー攻撃時代のセキュリティの挑戦 (2) | ScanNetSecurity
2024.04.24(水)

【ITセキュリティ先端企業 対談シリーズ3】AGC旭硝子が語る、サイバー攻撃時代のセキュリティの挑戦 (2)

サイバー攻撃に関して言えば、事務所内だけでなく工場の制御システムを狙う攻撃も顕在化しており、経営リスクにもつながる深刻な問題として認識されはじめています。

特集 コラム
※ TREND PARK 特約記事 ※

ガラス事業やディスプレイ事業などで世界トップクラスのシェアを誇るAGC旭硝子。サイバー攻撃などの脅威が深刻化する今、自社に有用な情報をいち早く入手することが重要だと語ります。トレンドマイクロは、製品のみならず、同社のIT環境に合わせたセキュリティの運用を24時間365日にわたり包括的にサポートするセキュリティパートナーとして信頼関係を築いています。

なぜAGC旭硝子はセキュリティのパートナーとしてトレンドマイクロを選んだのでしょうか。ITセキュリティ戦略について、AGC旭硝子 グローバルITリーダー 情報システムセンター長 神庭基氏に、トレンドマイクロ株式会社 取締役副社長 大三川 彰彦が伺いました。


●セキュリティ対策がビジネスの足かせになってはいけない

大三川
今回のインタビューは御社の会議室をお借りしています。入口の壁にはタブレット端末が設置され、利用管理が容易にできるようになっています。こうしたスマートデバイスの活用については、御社ではどのようにビジネスに取り入れていかれる予定ですか。

神庭氏
われわれ部門のこれからの大事な役割は、ビジネスを拡大するIT環境を提供することです。ビジネスを拡大する上で、タブレット端末やスマートフォンは有用なツールだと思います。営業や製造現場でどう活用すれば、ビジネスに価値を生み出すのか今まさに考えているところです。

一方、こうしたITの活用を考える上では、セキュリティ対策は不可欠です。なし崩しで導入に踏み切ってしまうのではなく、セキュリティの整備と両輪で進めていかなければなりません。

大三川
ITの活用が先行してしまい、導入後にセキュリティを考えるということも少なくないようです。

神庭氏
セキュリティは、事業継続を考える上で不可欠な要素です。冒頭の話のように、サイバー攻撃により、工場の操業が止まってしまったり、最新の技術情報を窃取されてしまうこともあり得るのですから。だから、やらないといけない、必須なものとして考えています。ただビジネスを推進するIT環境を提供することがわれわれの役割ですから、セキュリティ対策がネックとなり導入できないとか、遅れることは許されません。

大三川
セキュリティにより、ITの利用が煩雑になってしまえば、折角導入したのに、利用自体が回避されてしまうということにもなりかねません。デバイスの多様化などによりIT環境が進展し、セキュリティリスクが複雑化しています。こうした時代だからこそ、セキュリティは、負担にならない、使いやすいものでなければいけません。
トレンドマイクロでは、防御精度が高いというのはもちろん、ビジネスの柔軟性やコスト効率性を損なわない製品・サービスの提供を追求しています。お客さまがITの活用によるビジネスメリットを最大限享受できるようなセキュリティを提供していきたいと思います。

●脅威は工場にも、24時間365日安定操業を守る

大三川
サイバー攻撃に関して言えば、事務所内だけでなく工場の制御システムを狙う攻撃も顕在化しており、経営リスクにもつながる深刻な問題として認識されはじめています。

神庭氏
当社でも、制御システムのセキュリティは優先事項として取り組みを始めたところです。今やオフィスを中心とした従来の対策だけでは十分とは言えません。当社の多くの工場は24時間365日操業していますから、製造ラインを攻撃されて、操業が停止すれば、事業継続に関わる事態にもなりかねません。中には化学系工場もあるため、攻撃による被害が施設外にも及んだ場合のことを考えると、大変な脅威です。

今後、より柔軟性あるビジネスを追求し、工場にも新しいデバイスが浸透するなどの動きが進めば、制御システムとOAの境界が曖昧になり、セキュリティリスクは一層複雑になります。早急に工場におけるセキュリティレベルを底上げし、安全をより強固なものにしていく必要があります。

大三川
これまでのように、本社、支社のネットワークやオフィス内を守る取り組みだけでは、十分とはいえない時代です。かねてより、トレンドマイクロでは、工場内のセキュリティ対策として、オフライン端末向けのセキュリティ対策ツールなどを提供してきましたが、脅威の変化やお客さまの環境変化を受け、昨年、制御システムのセキュリティ事業を新たに立ち上げ、制御システム向けセキュリティ対策ソフトの提供を始めています。

神庭氏
御社の製品に関しては、オフライン端末向けのセキュリティ対策ツールを丁度当社でもテストをしているところです。USB型製品で比較的容易に利用できる仕様で、オフライン環境で有益なツールになりうると考えています。トレンドマイクロさんには、セキュリティのリーダーとして、制御システムのセキュリティにおいてもけん引役として、当社だけでなく業界全体にとって有益なソリューションを提供していただけることを期待しています。

大三川
ありがとうございます。制御システムのセキュリティについては、政府や業界団体とも密接に連携していくことで、お客さまによりご利用いただきやすいかたちでソリューションを届けるべく、ビジネスを進めているところです。お客さまのIT環境や脅威が変わる中、これからも安全、安心にフォーカスし、求められるソリューションを最適なかたちでご提供することで、お客さまのご期待に応えていきます。

※この記事はトレンドマイクロ株式会社のセキュリティ情報誌 TREND PARK から転載しました※
《TREND PARK》

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