トレンドマイクロ株式会社は7月3日、「カカオトーク」になりすました不正アプリの事例を2件、同社ブログで公開している。特に広い拡散を狙った攻撃には、情報の広範囲な拡散が期待できるソーシャル機能を有するアプリが標的となりうる。今回の攻撃はカカオトークに限らず、あらゆるアプリにて考えられる攻撃手法であるとしている。2013年1月に確認された事例は、極めて限定的な範囲のメールに添付する形で拡散された「ANDROIDOS_ANALITYFTP.A」であった。信頼する人物を装った上で、インストールを促す文面とともに、アプリが添付されていた。このなりすましアプリは、公式アプリを解析し、無断で改変(不正なコードの追加)を行った上で再配布が行われている「リパッケージアプリ」であった。AndroidアプリはJavaで開発されているため、バイナリからコードへの可逆性が高いとされている。Androidではリパッケージを防衛する技術として、開発者認証書の署名が組み込まれている。この事例では攻撃者が署名まで真似る手間をかけなかったようで、署名情報の確認で真贋判定が容易に行える。このアプリは盗聴を狙った不正アプリで、定期的に「連絡先」「通話履歴」「テキストメッセージ」「通信事業者設定」を「INFO.TXT」へ書き出し暗号化した上でC&Cサーバへ送信する機能を有していた。もうひとつの事例は「ANDROIDOS_FAKEKKAO.A」で、ひとつ目の事例と異なり、カカオトークのブランド名にただ乗りした「贋作アプリ」であった。6月29日、KakaoTalkの公式Twitterアカウント(@kakaoteam)において、「KakaoTalk セキュリティプラグイン」という、この不正アプリに対し注意喚起が発表されている。発症すると、連絡先情報を読み取ってアルファベット順に「all msgs」という文面のテキストメッセージをばらまく症状が現れる。この不正なテキストメッセージ送信活動は送信履歴などの主観的な症状が残るため、被害者は比較的容易に「何かが」原因で不審な症状が発生していることに気づくことができる。この不正アプリはネイティブライブラリを呼び出しており、外部のC&Cサーバと通信を確立、コマンド実行する振る舞いがあるという。