工藤伸治のセキュリティ事件簿 第21回 | ScanNetSecurity
2024.03.29(金)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 第21回

 ※本稿はフィクションです。実在の団体・事件とは関係がありません※

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 ※本稿はフィクションです。実在の団体・事件とは関係がありません※

このままずっと葛城とだんまりしているわけにもいかない。

「じゃあ、犯人にご登場いただこう」

オレは、わざとらしく明るい声で言った。葛城は無言で携帯電話を持つと犯人を呼び出した。

会議室にやってきた犯人は、訝しげな表情を浮かべていた。

「まあ、座んなよ」

オレが会議室の椅子を指さすと、犯人はオレと葛城の顔を交互に見た。

「私、仕事の途中なので、すぐに終わるのでしたら、立ったままでおうかがいします」

犯人は、立ったまま言った。

「安全なパスワードを教えてくれないかな?」

オレが言うと犯人の顔から血の気が引いた。

「なんのことですか?」

「暗号を解く安全な方のパスワードだよ」

犯人は黙っていた。

「今日の午前8時20分にサーバへの不審なアクセスがあった。あんたがやったんだろう?」

「なにをおっしゃっているのかわかりません」

「わかってるくせにしらばっくれてもだめだよ。じたばたすると刑事告訴されて前科ついちゃうよ」

犯人は無言だ。おそらく言い逃れる方法を考えているんだろう。考えさせちゃだめだ。警察に届けられない分、こっちの方が不利なんだ。

「もう少しわかりやすく説明するよ。昨日の会議は罠だったんだ。あれでシステム部の誰かが動き出すのを待ってたんだ。」


【執筆:才式】
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