※本稿はフィクションです。実在の団体・事件とは関係がありません※このままずっと葛城とだんまりしているわけにもいかない。「じゃあ、犯人にご登場いただこう」オレは、わざとらしく明るい声で言った。葛城は無言で携帯電話を持つと犯人を呼び出した。会議室にやってきた犯人は、訝しげな表情を浮かべていた。「まあ、座んなよ」オレが会議室の椅子を指さすと、犯人はオレと葛城の顔を交互に見た。「私、仕事の途中なので、すぐに終わるのでしたら、立ったままでおうかがいします」犯人は、立ったまま言った。「安全なパスワードを教えてくれないかな?」オレが言うと犯人の顔から血の気が引いた。「なんのことですか?」「暗号を解く安全な方のパスワードだよ」犯人は黙っていた。「今日の午前8時20分にサーバへの不審なアクセスがあった。あんたがやったんだろう?」「なにをおっしゃっているのかわかりません」「わかってるくせにしらばっくれてもだめだよ。じたばたすると刑事告訴されて前科ついちゃうよ」犯人は無言だ。おそらく言い逃れる方法を考えているんだろう。考えさせちゃだめだ。警察に届けられない分、こっちの方が不利なんだ。「もう少しわかりやすく説明するよ。昨日の会議は罠だったんだ。あれでシステム部の誰かが動き出すのを待ってたんだ。」【執筆:才式】関連リンクさりとてあるまじろhttp://blinedance.blog88.fc2.com/