11月24日から27日にかけて、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)主催の「Internet Week 2009」が秋葉原で開催される。今回で13年目となるこのイベントでは、インターネットの基盤技術の基礎知識や最新動向を網羅的に学ぶことができる。Internet Week 2009 https://internetweek.jp/ このイベントの開催責任者である JPNIC の前村昌紀氏に見所となるポイントを聞く連載 4回目の今回は、2日目の11月25日に行われるプログラム「インターネットをとりまく政策と規制の最新動向」について、語ってもらった。─このプログラムを設けられた背景は何でしょうか? インターネットが社会インフラとして浸透するに従い、もはや、かつてのような自由なものではなくなりつつあります。昨年は青少年ネット規制法の導入や迷惑メール対策法改正、帯域制御に関するガイドラインの制定などが話題となりましたが、インターネット上の情報流通に規制を行おうという動きはあちこちで見られるようになり、もはやその全体像を把握できなくなりつつあります。 そこで、ネットワークサービスの事業者にとって最低限知っておかなくては自社サービスの提供に差し障りが出る可能性のある政策や規制の最新動向を何とかまとめて俯瞰してみたいと思い、このプログラムを用意しました。─プログラムは具体的にどのような内容なのですか? 全部で 6つのセッションで構成されています。まず午前中の 3つのセッションはそれぞれ「著作権」「フィルタリング」「出会い系サイト」といったテーマで主に「規制」に関する話題を中心に、現在の状況について紹介します。午後は、「帯域制御」「事業者の義務」といったテーマで主に最新のトレンドを中心に紹介する 2つのセッションの後、最後に総括として登壇者の皆さんによるパネルディスカッションを行います。─プログラム対象者は、どのような方たちでしょうか? インターネットのサービス開発や企画にかかわる人はもちろんですが、インターネットをとりまく政策や規制に関心のある方であれば、どなたでもご参加いただける内容になっています。─最後に、読者にメッセージをお願いします。 インターネットをとりまく政策や規制は、インターネットに携わる者であれば、誰しも無関心ではいられないものだと思います。しかし、その一方で、あまりに複雑多岐に亘ってしまっているために、それらの全てを逐一丁寧にとは言わないまでも、概観すら把握することが難しい状況になっています。 そのような中、わずか 1日のプログラムではありますが、これだけの数の関係者を一同に揃えて最新の動向を聞ける機会はそうそうあるものではありません。この貴重な機会を是非ご活用いただければと思います。■インターネットをとりまく政策と規制の最新動向 プログラムアジェンダ開催日時: 2009年11月25日(水) 9:30-12:30、14:00-17:00場所: 秋葉原コンベンションホール https://internetweek.jp/access/ 料金: 事前料金 12,000 当日料金 16,000URL: https://internetweek.jp/program/f1/ (1) インターネットにおける著作権をめぐる最新動向 講演時間: 9:30-10:30(60分) 講演者: 文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室企画調査係長 大冨友加氏「著作権法の改正とインターネットについて」 ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会 (CCIF) 株式会社 NTTPCコミュニケーションズ 執行役員 ネットワーク事業部 事業企画部長 小山覚氏「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策について」 講演概要: 2009年の通常国会で著作権法が改正され、 違法なファイルのダウンロードを違法化し (ただし罰則なし)、 またネットワーク上における送信の効率化等のためのものや検索エンジンが行うキャッシュを合法化しました。一方、権利者団体とISP が共同し、Winny 等ファイル共有ソフトによる著作権侵害に対し、ISP が利用者に対して警告等を行う試みも行われています。本セッションではこのような動向について概括します (最後にミニパネルディスカッションを行います)。(2) フィルタリング提供義務とブロッキング 講演時間: 10:40-11:40(60分) 講演者: 社団法人日本インターネットプロバイダー協会 行政法律部 会長 木村孝氏「フィルタリング提供義務の現状」 一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター Jack YS LIN氏「中国におけるフィルタリング導入政策」 安心ネットづくり促進協議議会 児童ポルノ対策作業部会主査・ 弁護士 森亮二氏「児童ポルノ流通防止とネットワーク上のブロッキング」 講演概要: 今年から携帯電話では青少年保護を目的とした有害情報等のフィルタリングの導入が義務化されました。一方中国では今年、すべての PC にフィルタリングソフト導入規制が決められたものの、様々な問題により直前になって中止されるということがありました。世界では更に、児童ポルノの流通防止のためにはフィルタリングを超えてネットワーク上でブロッキングしようという動きがあり、日本でも研究が進められています (最後にミニパネルディスカッションを行います)。(3) 出会い系サイト規制法強化とインターネットへの影響 講演時間: 11:50-12:30(40分) 講演者: 株式会社ライブドア メディア事業部 マネジャーカスタマーサポートセンター長 高橋誠氏「出会い系サイト規制法強化による影響」 株式会社ディー・エヌ・エー CS部 渡辺文恵氏「出会い系サイト規制法強化とSNSへの影響」 講演概要: 出会い系サイト規制法は、出会い系サイト事業者のみならずSNS に対しても実務上さまざまな影響をもたらしています。その現状について先進的な取組みをしている事業者の例を紹介します。(4) 帯域制御ガイドラインと通信の秘密 講演時間: 14:00-15:00(60分) 講演者: 帯域制御ガイドライン検討協議会 社団法人日本インターネットプロバイダー協会 行政法律部 会長 木村孝氏「帯域制御ガイドラインから見る通信の秘密の 考え方」 帯域制御ガイドライン検討協議会 社団法人日本インターネットプロバイダー協会副会長専務 理事 立石聡明氏「帯域制御の現状とガイドライン解説」 講演概要: ISP が行う Winnyなどの P2P ソフトウェアに対する帯域制御に対し、一定の歯止めをかけるべく、2008年に業界団体で帯域制御のガイドラインを策定しました。ガイドラインの検討を行った協議会が、帯域制御の現状やガイドラインの解説をまとめましたので、一般に対し今回初めて発表します。(5) 重くなる事業者の義務−消費者保護の強化と事故報告 講演時間: 15:10-16:10(60分) 講演者: 社団法人日本インターネットプロバイダー協会 行政法律部 会長 木村孝氏「通信ログ保存義務のその後の動向」 総務省総合通信基盤局消費者行政課長補佐 村田光由氏「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドラインの改正」 総務省総合通信基盤局電気通信事業部 電気通信技術システム課企画官 安全・信頼性対策室長 川村一郎氏「インターネット上の事故報告について」 講演概要: 電気通信の安全・信頼性に関する規制は、いままで音声電話を中心に定められてきました。昨今はインターネットやメールが電話に代わる通信インフラ、手段として重要になっていることから、従来は規定が余りなかったこれらのサービスについても規定や基準が設けられることになりました。(6) 本日の総括として参加者によるパネルディスカッション 講演時間: 16:20-17:00(40分) 講演者: 司会: 木村孝氏 パネル: 上記登壇者 講演概要: 上記登壇者によるパネルディスカッションを実施します。【関連記事】Internet Week 2009 特集 (1)2009年のセキュリティ対策を振り返り、2010年を考える https://www.netsecurity.ne.jp/3_14098.html Internet Week 2009 特集 (2)DNSSEC を基礎から学びませんか? https://www.netsecurity.ne.jp/3_14141.html Internet Week 2009 特集 (3) IPv6 のセキュリティ問題を考える https://www.netsecurity.ne.jp/3_14181.html 【関連リンク】Internet Week 2009 https://internetweek.jp/