クレジットカード業界としては、すでに数年前からVISAやマスターカードなど国際カードブランドが共同で制定した、PCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)というセキュリティ基準が、国際ルールとして浸透を見せてきている。さらに日本では、2008年6月に成立した改正割賦販売法により、クレジットカード情報の漏えいなどによる消費者被害を防ぐために、カード情報取り扱い事業者にセキュリティ対策を義務づけることとなっている。
カード事業者の立場では、ブランドが定めたPCIDSSと、国が定めるセキュリティ基準の両方を守らなくてはならないとなると、混乱するし手間もコストもかかるということになってしまう。そのため、カード事業者から、セキュリティ基準を一本化してもらいたいという要請が出ているのは、当然といえるだろう。
日本オフィス・システム株式会社 森 大吾 氏 コンサルティング推進室内部統制、セキュリティ、PCIDSS等を担当している。 |
●悪質クレジット販売から消費者を守る改正割賦販売法
改正割賦販売法は、カードセキュリティだけを目的としたものではなく、いわゆる「次々販売」など、悪質な訪問販売でクレジットカード契約を結ばされる高齢者を守ることも大きな柱になっている。それに並行して、クレジットカード情報についても、個人情報保護法ではカバーできていない部分の保護を強化するために、クレジット事業者に対して必要な措置を講ずることを義務づけるとしたものだ。
クレジットカード情報の不正なコピー作成や、カード情報への不正アクセス行為、またカード情報を不正に販売したり購入したり、さらに販売目的でカード情報を保管したりした者についても、3年以下の懲役とするといった、個人への刑事罰を含む内容となっている。
この改正案が提出された2008年の通常国会は、衆参ねじれ状況で時間切れ廃案となった法案も多かった中、国民生活に関係の深い問題であるとの認識で与野党が一致し、6月に成立した経緯がある。
●クレジットカード情報の保護における改正割賦販売法のポイント
では、この改正割賦販売法に定められた、クレジットカード情報の保護に関する条文を、要約してみていこう。
1.クレジッカード事業者は、カード情報の安全管理のために、必要な措置を講じなければならない。〜その安全管理基準は、経済産業省令で定める。(35条の16)
2.クレジットカードや割賦販売事業者などによって組織される一般社団法人を、「認定割賦販売協会」として国が認定し、その協会が割賦販売やクレジットカード情報の安全管理のために、必要な規則を制定する。
つまり、カード事業者の守るべきセキュリティ基準については…
【日本オフィス・システム株式会社 執筆:森 大吾】
コンサルティング推進室内部統制、セキュリティ、PCIDSS等を担当
日本オフィス・システム株式会社(東京都中央区日本橋箱崎町、代表取締役社長・水谷正裕)は、日本IBMと兼松の合弁によるソリューション・プロバイダーとして1982年創業。近年ではNTTコミュニケーションズも資本参加している。PCIDSS関連では、QSA(認定監査機関)・米国ControlCase社の日本窓口を担当するとともに、PCI認定スキャンツール・ControlCaseGRC(バルネラ・アセッサー)を取り扱っており、2009年4月に設立された「日本カード情報セキュリティ協議会(略称JCDSC)では、NTTデータセキュリティ株式会社とともに事務局を担当している。
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