●情報家電へのセキュリティ脅威 情報家電の普及に伴って、家庭のセキュリティというのもきちんと考えなければならない時期になってきているような気がする。 先日公開されたIPAの「自動車と情報家電の組込みシステムのセキュリティに関する調査報告書」は、それなりに網羅的に家庭内のセキュリティについても取り上げている。正確に言えば情報家電のセキュリティについての整理である。自動車と情報家電の組込みシステムのセキュリティに関する調査報告書 http://www.ipa.go.jp/security/fy20/reports/embedded/index.html この報告書では情報家電を大きく4つに分類している。・AV家電・白物家電・設備家電・情報通信機器等 さらに、情報家電へのアクセス経路として5つ挙げている。・直接、入出力・宅内ネットワーク・家庭に持ち込み、他の家電やPCと繋がる・電話回線で外部と繋がる・インターネットで外部と繋がる そして、これらおよびその組合せ(マトリックス)について脅威などを整理し、まとめとして、今後のセキュリティ脅威として以下の4つの可能性を挙げている。・情報家電の脅威が拡大する可能性 情報リテラシーが充分でない利用者が存在する可能性 情報等資産の多種多様化、範囲拡大の可能性 オークションや譲渡による情報の漏えいの可能性 セキュリティ対策が不十分な情報家電が混在する可能性 何が繋がり、誰が利用しているか、把握できなくなる可能性・ネットワーク経由による脅威の可能性 着脱機器やテレメトリングによる情報の拡散の可能性 偽のダウンロードパッチを受け入れてしまう可能性 情報家電経由でインターネットの不正サイトにアクセスしてしまう可能性 宅内ネットワークのセキュリティ設定が行われていない可能性・直接的な攻撃の可能性 第三者の侵入による不正な設定変更の可能性 メーカ点検員になりすました第三者による不正な設定変更の可能性 利用者自身による改造の可能性・重大な被害が減少しない可能性 これらの脅威への対策の方向性として6つ上げている。・利用者にセキュリティ対策を施す意識、被害に気づく知識をもたせる・利用者側にセキュリティ対策にコストをかける文化を醸成する・メーカやサービス提供企業に充分なセキュリティ対策を働きかける・情報家電のセキュリティ対策に関連した制度やしくみを充実する・何が繋がっているか、誰が利用しているかを明らかにする・セーフティとセキュリティの連携により安全・安心を実現する●ホワイトリストとブラックリスト 筆者は以前からセキュリティを考える際に、戦略から戦術までそれぞれのレベルに応じた異なるアプローチが必要ではないかと考えていた。 IPAの報告書に書かれている内容は、対症療法的な要素の洗い出しとその整理なので、当然のことながら戦略の立案や総合的なセキュリティ施策には直接的には役に立たないと思われる。戦略的な発想と総合的な施策には、別なアプローチが必要じゃないかと思うのである。 例えば今回の報告書では、ホワイトリストとブラックリストのアプローチについて何も触れられていない。この二つの、どちらのアプローチを取るかによって、戦術レベルで必要となるものは全く異なってくる。 現在は言うまでもなく、ブラックリスト=対症療法的なもので全てが構築されていると考えられる。ブラックリストは、基本は自由で何か問題があったら、対処するという発想である。アンチウイルスソフトのやり方の基本がこれである。 これに対してホワイトリストは… 【執筆:Prisoner Langley】【関連リンク】セキュリティコラムばかり書いているLANGLEYのブログ http://netsecurity.blog77.fc2.com/ ── ※ この記事は Scan購読会員向け記事をダイジェスト掲載しました 購読会員登録案内 http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec