今春SCANから発行されたビジネス調査資料「情報漏えい年鑑2008」は各界から多くの反響を得ました。今回は、同年鑑に序文を寄稿いただいた有限責任中間法人JPCERTコーディネーションセンター 代表理事の歌代和正氏のインタビュー記事を2回にわたってお届けします(本インタビューは「情報漏えい年鑑2008」の刊行時に実施されました)。●利用者を個人情報漏えいなどから救うためには何が必要でしょうか? インターネットの成功とともに、以前はいたずら程度だった不正アクセスなどの攻撃は利益が絡む犯罪ビジネスとなり、より悪質なものとなってきました。そんな中、常に狙われているのはパソコンやインターネットの初心者の人々です。こういった人々をどうやって守るのかは難しい。攻撃の手法や対策を教えただけでは守ることができません。もっと抜本的な対策が必要でしょう。・”何でもできるパソコン”以外の選択肢を充実させるべき Webブラウザとメールをたまにしか使わないぐらいの初心者と、セキュリティの専門家が使うパソコンは同じパソコンです。何でもできるパソコンというのではなく、もう少し機能を絞ったものを提供してもよいのではないでしょうか。Wiiのブラウザ「インターネットチャンネル」や、テレビのネットサービス「アクトビラ」などには、その座を期待しています。 ・プロバイダは標準で利用者を守る環境を用意すべき 多くのプロバイダでは、パソコンを直接インターネットに接続することができますが、普通は利用者のパソコンにグローバルIPアドレスを振る必要はありません。せめてパソコンを買ってきて、インターネットに接続した瞬間にウイルスなどに感染してしまわないように、プロバイダが標準でルーターを提供するなど、何らかの仕組みでNAT環境を用意した方がよいのではないでしょうか。オプションではなく、標準でです。 ・自分の情報を管理する第三者機関 現在、個人情報は利用者がサービスプロバイダ毎に情報を提供し、それぞれの事業者が別々に管理しています。これを1カ所で管理できればと考えます… 【執筆:株式会社トライコーダ 上野 宣 ( http://www.tricorder.jp/ )】【関連リンク】log.utashiro.com(歌代氏ブログ) http://log.utashiro.com/ 日本の情報漏えい事故を個人情報保護法実施以降から総覧 https://www.netsecurity.ne.jp/1_11044.html 「個人情報漏えい年鑑2008ダイジェスト版」を無償公開 https://www.netsecurity.ne.jp/1_11443.html 日本情報漏えい年鑑 2008(−2005年1月度〜2007年12月度−) http://shop.ns-research.jp/3/3/11015.html ── ※ この記事は Scan購読会員向け記事をダイジェスト掲載しました 購読会員登録案内 http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec