実際は公開情報よりもはるかに多いインターネットバンキングへの被害があり、“見えない”被害が多くあるのではないかと疑念を持たざるを得ない。そこで、本稿では近年発生したインターネットバンキング絡みの事件を分析してみる。●[01] インド銀行に挿入されたマルウェア今年8月に、インド銀行のWebサイトにマルウェアが埋め込まれたとの報道があった。具体的には、インド銀行のWebコンテンツにiframeタグが挿入され、インド銀行のサイトを閲覧すると、マルウェアがいつの間にかインストールされてしまう。攻撃手法自体は、今流行のiframeタグを用いたもので、n404 exploit kitと呼ばれるツールが利用されている。この攻撃ツールは、名前の通り404のレスポンスコードを返したように見せかけ、悪意あるページへジャンプさせ、Exploitを実行する。仕組みは、次のようにJavaScriptを用いて「404」を表示させており、JavaScriptを制御しているユーザには効果は無い。──────────────────────if (qdw==1) alert("4 0 4 p a g e. t r y a g a i n");qdw=qdw+15;if (qdw==15) document.write("404");else alert("error page");──────────────────────手口は、MPackやWeb AttackerなどのWebを経由して攻撃を行うExploitツールと大差は無いが、興味深いのはこれらの罠が銀行サイトに仕掛けられてしまった点だ。攻撃を受けてしまうと、ダウンローダが自動的にインストールされ、トロイの木馬がバックグラウンドでインストールされてしまう。もし、被害者のメインバンクだった場合、完全に生活を掌握されることになる。もしかしたら、既にパラサイトに取り付かれているユーザもいるかもしれない。この事例は、現在流行している一連のiframe攻撃の延長なのか、インターネットバンキング・ユーザを狙った攻撃なのかは不明だが、明らかに個人資産を狙った手口だ。ライス米国長官が、国家安全保障担当大統領補佐官だった2001年3月に、「今やサイバー経済こそが経済だ。ネットワークが攻撃されて障害が起これば、その国の経済が崩壊しかねない」と警告したらしいが、その予言は的中しかねない状態になりつつある…【執筆:二根 太】──※ この記事は Scan購読会員向け記事をダイジェスト掲載しました購読会員登録案内 http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?w02_ssw