前回、最も単純な使い方としてファイル共有の拡張という考え方での利用を試してみた。従来のファイル共有によるファイルサーバ運用では、アクセス権の設定は主に「閲覧の禁止」による情報漏洩対策が中心となっていた。しかし、SSS Filer を使うことでより柔軟なアクセス権の設定が可能となり、閲覧はできるがコピーはできないといった運用や、暗号化保存を行えるが他の端末では読めないといった方法での漏洩対策を行うことができる。セキュリティの三本柱には「安全性」「可用性」「堅牢性」がある。特に SSS Filer は安全性の維持を主眼に置くソリューションだが、実際には可用性や堅牢性も維持できるのだ。そこで、今回はさらにいくつかの例を挙げて、SSS Filer がその機能を発揮してくれる場面を紹介したい。●SSS Filer によるビジネスロジック前回は顧客情報をイメージした SSS Filer の利用シチュエーションを例に出したが、それだけが SSS Filer の利点ではない。たとえば先述したアクセス権の設定例のように、一般ユーザによる編集とコピーを禁止しておけば、ごく限られた担当者だけがファイルを更新できるといった取り扱いが行えるようになる。これは個人情報だけでなく、社則や仕様書といった社外秘に相当するドキュメントを運用するなどのシチュエーションに対応できる。また、印刷のみ許可しておけば、報告書や日報などの原紙を配布することができ、常に同じ書式が利用されることになる。書式を変更したのに、皆が勝手に手元の古い書式を使いつづけるといったこともなくなるだろう。単なる原紙の配布以外の運用では、ソフトウェアの仕様書等を一元管理する例が考えられる。SSS Filer を使って仕様書を管理すれば、仕様変更されたときに古い仕様書を参照して間違った実装をしてしまう可能性を減らすことができる。これも閲覧を許可してコピーと印刷を禁止すれば実現できる。もともとは情報漏洩対策として開発された SSS Filer だが、広い意味で情報伝達をコントロールすると考えればその利用範囲が極めて広いことがお解りいただけるだろう。もちろん、本来の目的である情報保護のために必要な要件は満たしているので、重要情報は SSS Filer で管理するといった、限定した目的での利用も可能だ。しかし、柔軟なアクセスコントロールができる SSS Filer の特徴を生かせば、さらに効率的なビジネスロジックを実現できるはずだ。●システム開発での利用例重要なファイルが第三者に渡ることを防ぐといった目的の他に、前述のコピー禁止の例からシステム開発での利用例を掘り下げてみよう。筆者は過去にソフトウェア開発の現場に従事していたことがある。プログラマーでもありシステムエンジニアでもあった筆者は、ソフトウェア開発の例に漏れず仕様変更を繰り返していた。そのような時に問題になるのが、仕様書のバージョンの不整合だ。※本製品に関するお問い合せは下記のアドレスまで。scan@ns-research.jp他力本願堂本舗杉谷 智宏──(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec