利用者から見た電子自治体、電子政府(24) 〜今、行われている事例 | ScanNetSecurity[国内最大級のサイバーセキュリティ専門ポータルサイト]
2017.09.20(水)

利用者から見た電子自治体、電子政府(24) 〜今、行われている事例

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●情報発信が力を持つとき

 この連載もそろそろ終わりなので、そろそろまとめに入りたい。ここまで、小さい政府、大きな影響力が、電子自治体、電子政府では重要であることを何度か書いてきた。自治体や政府が持つ標準化における指導的な立場と、インターネット時代の情報の持つ伝播性があいまって、自治体、政府の情報発信には大きな可能性が開かれているというのがこの連載の基本的な立場である。

 特に、状況が流動的な時に情報の持つ影響力は大きい。昭和2年春、議会で「渡辺銀行が破綻」と大蔵大臣片岡直温が失言をして、これがきっかけで東京渡辺銀行は倒産し、昭和恐慌が起こった。情報は力を持っているのである。この連載の一番最初に、情報には過去の情報、今の情報があると書いた。古い情報は、図書館や本屋にある情報である。新聞やニュースでの報道は、今の情報である。情報は人に伝わるまでは単なるデータであって、直接、力を持っているものではない。今の情報でも、自分に関係ないどこか遠い地域の災害情報では影響力はない。しかし、情報の受信者に関係がある未来を作り出す情報には力がある。単なる言葉そのものでも力を持つ。小泉首相の言葉が今の日本に大きな影響力を与えているのは、誰もが実感することだろう。今まで、総理大臣の言葉にここまで反応していることはあったのだろうか?

 セキュリティの世界でも、『I love you』ウイルスは、高度な技術を使ったものではなかったが爆発的に流行った。題名がよかったのだ。チェーンメールなども、言葉だけで影響力を行使している。電子自治体、電子政府の世界でも、単純に情報を提供するだけでもかなりのことができるのである。確かに、公的個人認証は電子自治体、電子政府の本命であるが、なかなか普及しない。実際のところ、普及は当分の間、無理だろう。そういうわけで、今、情報の持つ力に目を向けて、ホームページによる政府や自治体の情報発信の価値を見てみよう。


●情報発信の事例として、フィルムコミッション+議員ブログ

 以前も取り上げたが、自治体がインターネット上で情報発信している事例として、フィルムコミッションが最近、活発である。フィルムコミッションとは、『映画、テレビドラマ、CMなどのあらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、実際のロケをスムーズに進めるための非営利公的機関です。』と、全国フィルムコミッション連絡会議( http://www.film-com.jp/ )のホームページには書いてある。歴史的には、『平成12年2月、民間による任意の「フィルム・コミッション設立研究会」(委員長:日本映画学校校長 佐藤忠男氏)が設立されました。』とあり、つい最近である。自治体は積極的にフィルムコミッションを支援している。フィルムコミッションは、自治体にとって確実に収入を増やすものである。ロケで人がくるので地域での消費が増え、放映されることで観光客が増え、また地域に観光収入が発生する。平成12年まで、あまり意識されてこなかったほうがおかしいと言える。フィルムコミッションの情報はインターネットでの情報提供になじむと言える。地域の大量に画像をのせたり、撮影された番組の一覧や、これからの放送時間、上映時期などをタイミングよくのせるには、インターネットでなければ、費用的に不可能である。たとえば、たかはしフィルムコミッション( http://fcom.z1.bbzone.net/xoops2/ )は、ロケ地の画像を1370枚( http://fcom.z1.bbzone.net/xoops2/modules/myalbum/ )載せている。紙媒体でこれらの情報を提供することは費用的に難しいだろう。
また、このホームページは、ポータルサイト構築に適したオープンソースのXOOPSを上手に活用した事例と言える。フィルムコミッションのホームページでは、画像情報を豊富にかつ、タイムリーに掲載する必要がある。

 そういったシステムを従来の開発手法でつくるならば、非常にコストがかかったが、現在ではXOOPSのように無償のオープンソースで、十分に高機能なホームページをつくることが可能になった。もちろん、通常のHTMLベースでも更新が頻繁で立派なサイトもある。北九州市FC( http://www.kitakyu-fc.com )はPR用DVDまでつくっている。地方自治体のインターネット上の情報発信として、フィルムコミッションは、今後発展する分野である。そして、ビジネス的にも、フィルムコミッション用というか、地域観光紹介用のコンテンツマネジメントシステムの需要もこれからのびるだろう。ただ、公式のフィルムコミッションのサイトだけでは、情報発信として広がりは限られる。権限と責任を持つ人の意見が加われば、ずっと価値のある情報発信になる。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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