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2018.07.21(土)

利用者から見た電子自治体、電子政府(16) 〜防災

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●防災は、自治体、政府の本来の役目

 今回のテーマ、防災は、まさに自治体、政府の重要な役割である。今年は地震や台風の到来があり、防災意識も高まった。情報処理学会会誌の11月、12月号には「大規模災害に対する減殺情報システム」という特集がタイムリーになされている。情報処理学会の会誌なので、電子自治体、電子政府と接点のあるテーマが扱われている。題名にあるように、この特集で重要なことは防災から減災という発想の転換である。災害はいつか起こるものなので、それに備えるという発想の転換である。特に地震については予知が事実上困難であるとされる。そうならば、災害が起こった場合にいかにその被害を軽減させるかが重要になると考え方が変化したわけだ。

 この特集によれば、減災の過程は大きく3つ分けられている。災害準備期、応急対応期、復旧復興期である。災害準備期に関しては、アメダスのインターネット上公開などの情報提供について、すでに述べてきた。災害準備期は平時なので、情報インフラにも状況にも混乱がなく、スムーズにことを運ぶことができる。準備期関連で自治体や政府が力をいれているのは、カメラの配備である。あちこちにカメラが設置されはじめている。地理情報システムとの連動も行われており、平時に災害の前兆をつかむ情報インフラの整備は進んできているといえる。問題はそれから先の応急対応期であり、復旧復興期である。


●応急対応期における情報システムは 無線が主力

 災害時にはなんといっても状況把握が重要である。現場の正確な画像情報を取得することが容易にできるのなら、それは災害現場での適切な対応につながり、有益な情報システムとなる。おそらく、その役目をもっともよく果たすのは偵察衛星である。しかし、日本では偵察衛星が最近打ち上げられたばかりで衛星からの正確な画像の取得は難しい。今は通信衛星とヘリコプタの組み合わせが試みられている。総務省系の独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)が、災害などの情報収集を目的にしたヘリコプタ衛星通信システムを開発した。ヘリコプタは回転翼をもっているために無線が遮断されやすく、リアルタイム画像送信にはあまり向いていなかった。

 今回、NICTはその課題を克服して、リアルタイム画像を通信衛星経由で送信可能になった。今後も衛星を利用した通信や画像の取得は重要になる。衛星の活用はまさに政府の役割であり、広い意味での電子政府の情報基盤のひとつになる。また、衛星通信をしながら現地の情報を取得して、地域用に印刷物を配布することが可能な車両の配備を新聞社等が計画しているという話を聞いたことがある。GPSを多くの人が利用しているように、衛星の持つ情報はこれからますます重要になってくるだろう。

 光ファイバなどの有線で敷設してある情報通信システムは、災害時にはおそらく機能しないのでなおさらだ。そういう意味で無線システムは、現時点では応急対応期にふさわしいはずである。そこで、自治体にはいわゆる防災無線システムが広く導入された。しかし、今回の新潟地震では防災無線は機能しなかった( http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041113/152537/index.shtml )。

 使えなかった理由はバッテリが確保されていなかったとされる。普段使わない防災無線なのでいざというときに使えなかったというわけである。その一方、携帯電話は音声通話を制限して、安否確認の「iモード災害用伝言板サービス」を展開して好評を得ている。普段使っているシステムの延長線上にあったほうが、災害時には役立つ。災害時専用の立派な情報システムを作っても機能しないことがある。

 兵庫県は阪神淡路大震災で被害をこうむったので、県と県内全市町村を結ぶ災害情報システム(フェニックス防災システム)を構築した。しかし、2004年の台風23号のときに、円山川氾濫の関する情報等がその情報システムで入手することができなかったのである。該当する市町村は、現場の対応に追われて情報をエントリしなかったのである。実際に災害が起こっているところで悠長にデータをパソコンにエントリするわけにはいかないだろう。災害情報に関して、できるだけ加工する必要なく電子的に収集して集約するのがよいことなる。

【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
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