NERC は最近、対策リストのサイバーセキュリティ部分に関して、規則を書き換えることに賛成した。その規則は Urgent Action Cyber Security Standard 1200 と呼ばれるもので、米国およびカナダの電力会社が遵守すべき最低限のサイバーセキュリティ要件を記したものだ。しかし、その基準は停電前に作成されたものであり、その適用範囲は比較的狭いものだった。具体的には、電力会社の制御センターのみに適用され、変電所や発電所そして遠隔から操作される制御システム、そして送電網全体に電気を供給する継電器には適用されないものだ。「規則は十分とは言えない。つまり適用範囲は非常に制限されている」と業界のシンクタンク、Electric Power Research Institute のエンタープライズ情報セキュリティ担当責任者 Tom Kropp 氏は指摘する。
SCADA (Supervisory Control and Data Acquisition) は、電力会社がリモートから電話回線、無線リンクそして最近増えつつある IP ネットワークで発電機器や変電所を制御し監視するシステムだ。それがサイバー攻撃の格好の標的となっているのだ。しかし、既存の一部の SCADA システムにおいて、経済的理由からリンクに受け入れがたい待ち時間(すなわち通信速度の低下)を発生させずに、暗号化もしくは認証技術を用いてシステムのセキュリティを強化することができないのだ。「暗号化や証明書などを施すデバイスはない」と Leffler 氏。