PKI入門(13:最終回) PKIの今後の展望 | ScanNetSecurity
2024.04.19(金)

PKI入門(13:最終回) PKIの今後の展望

 PKI入門シリーズの最後は、PKIの今後の展望について、今見えているものと、これからの期待を込めて、可能性のあることを書いてゆく。

特集 特集
 PKI入門シリーズの最後は、PKIの今後の展望について、今見えているものと、これからの期待を込めて、可能性のあることを書いてゆく。


●クライアント認証になれることからはじまる

 クライアント認証を使ったSSL-VPNがこれから普及しそうだということについてはすでに述べたとおりである。PKIの本質部分である署名の機能というのは別にして、ID、パスワードのいらない便利な認証システムという位置付けである。横河電機のSecureTicketはID、パスワードはいらないが、セキュリティの高い認証ソリューションを提供し、それなりに市場に受け入れられている。それと同様のことをSSLのクライアント認証システムは与えることができる。だから、これからクライアント認証が、企業内のセキュリティシステムとして本格的に浸透してゆくことは間違いないだろう。

 コスト的にもプライベートCA局(認証局)ベースのシステムなので、SIベンダがシステム構築の経験を積めば、PKIのシステム構築コストは適正な価格帯へと収束するだろう。その過程で、多くの企業内ユーザがクライアント認証の便利さを実感することになる。現時点では、偽造耐性のあるUSBキーがクライアント証明書を格納する有力な電子媒体なので、USBキーになじむユーザが増えるだろう。場合によっては、偽造耐性はないがUSBメモリを証明書の格納場所に選ぶ場合もでてくるだろう。USBの形をした鍵を使ってアクセスするのは直感的にもわかりやすい。もちろん、進んだ会社はRSAセキュリティのRSA SecurIDをつかっていたりするが、まだまだ一般の企業ではID、パスワードに相当するものをUSBキーのような電子媒体に記憶するということになれてはいない。

 さて、企業の人は、USBキーによる電子認証に徐々になれてゆくだろうが、一般の消費者はどうだろう。


●偽造耐性デバイスの普及とPKI

 一般消費者にとって、偽造耐性デバイスによる電子認証が身近になるのは、PKIそのものではないが、おサイフ携帯 http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/service/felica/ が大きな影響をもつだろう。電子マネーで広く普及しているスイカや、エディの機能を携帯が持つようになるのだ。ただ、実際に多くの人がおサイフ携帯を使うようになるのは、まだまだ先だろう。キャッシュを使わないで支払いができるという利便性が重要だとすると、顧客側からみれば、クレジットカードでも十分なのだ。コンビニもローソンでは、クレジットカード支払いが可能で、わざわざ電子マネーを使う必然性もあまりないといえる。おそらく、JRに乗るときに普段スイカを使っているので、ついでに買い物もスイカが使えたら支払うという程度ではないだろうか。ちょっと便利になった程度である。

 しかし、ここにPKIの証明書が入るようになったらどうだろう。証明書提示を携帯から行うと会員登録ができたりすると便利だ。但し、現時点では、携帯に証明書をいれてサービスを行うところまではまだまだいっていない。携帯に電子マネーをいれると便利ですね。というところにとどまっているのが現状だ。しかも、その電子マネーもまだ普及の初期段階である。

 一方、電子記憶媒体の主役がフロッピーディスクから離れて、CD-RWと各種メモリとりわけUSBメモリなどに移ってきている。USBメモリに近い電子記憶媒体は、SD、CF、メモリスティックなど、ある程度バリエーションはあるが、いずれも半導体メモリを利用しているメモリカードだ。メモリカードは、ほんのちょっと工夫をすれば、保存したデータを外から読めない偽造耐性デバイスにすることが可能だ。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec


《ScanNetSecurity》

Scan PREMIUM 会員限定記事

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定記事特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×