モデムを使ったセキュリティ・パッチの適用 | ScanNetSecurity
2024.04.19(金)

モデムを使ったセキュリティ・パッチの適用

Scott Granneman(SecurityFocus)
2004年3月26日 11:44 GMT

国際 海外情報
Scott Granneman(SecurityFocus)
2004年3月26日 11:44 GMT

 恥ずかしながら、私は最近すっかり忘れていたことを気づかせてくれる貴重な体験を二つした。一つは、友人が購入した中古のコンピュータに Windows 2000 のクリーン・インストール作業を手伝っている時だった。私と友人は、問題なく Windows 2000 をインストールした。そして、Windows と共にインストールしなければならない他のソフトウェア(ウイルス対策ソフト、ファイアウォール、スパイウェア対策ソフトなど)も全てインストールした。次にそれらのソフトウェアの更新を開始した。そこで問題が発生したのである。

 私の友人は未だにダイアルアップ式モデムを使ってインターネットにアクセスしていた。

 私は自宅で DSL を使用していた。ここセントルイスに DSL が提供されて以来、数年間 DSL を使用している。その前は、ISDN を使っていた。教職の仕事でワシントン大学に赴任した時、インターネット接続の速さに驚いたものだった。Linux ISO 全てをたった数分でダウンロードできるのだから。仕事をする時は、友人の家に行った。友人らは皆、DSL かケーブルモデムを使用していた(そして無線ルータも使用していた。でも、それは単に DSL もしくはケーブルモデムをより快適に使うためだ)。文章を書く仕事をする時は、無線 DSL 接続を提供する近所の喫茶店かカフェに行った。

 謂わば、私はブロードバンド・ワールドで生活しているのである。

 しかし、私の友人が使用しているインターネット接続は、とてつもなく遅かった。呆れるくらい遅かった。あまりの遅さに椅子から立ち上がり、部屋の中をむやみに歩き回り、暴言を吐きそうになった。それは 56kbps モデムで、我々は上り 40k で接続した。でも、遅いことには変わりなかった。

 ウイルス対策ソフト更新のダウンロードが永遠に続くかと思われた。スパイウェア対策ソフト更新のダウンロードも永遠に続くと思われた。でも、これはまだ序の口だった。いよいよ、Microsoft Update サービスを使用して
Windows 2000 を更新する時がきた。

 とんでもなかった。はっきり言って不可能だったのだ。最初の更新(Internet Explorer 6)でさえも終えることはできなかった。最初のダウンロードのサイズは 500kb だった。しかし、それはほんの短いスタブで、その後に 11.3MB もある IE6 Service Pack 1 のダウンロードを要求してきた。Microsoft のインストール・ユーティリティによると、28.8 モデムで 11.3MB のダウンロードにかかる推定時間は 1 時間 36 分だった。

 ビル、君が吸っている煙草をくれよ。マジに煙草が欲しい。落ち着くには、いいかもしれない。

 さて、話しを戻そう。読者の殆ど、いや全員が次のように思うだろう。28.8 モデムで 11.3MB を 1 時間半でダウンロードするなんてとんでもない、あり得ないと。

 そこで私は、このような状況に直面した多くの人が取ると思われる行動に移した。私はため息をつき、友人のコンピュータを梱包し、自宅に持ち帰ったのである。私の家ならばブロードバンド接続で更新をダウンロードできる。まず、ダウンロードする必要のあるセキュリティ・パッチと他の重要とされるアイテムの数をかぞえた。

IE6 SP1 用の 500kb スタブ・インストーラ

11.3MB の IE6 SP1(再起動が必要)

Windows 2000 Service Pack 4 用の 589kb スタブ・インストーラ

36MB の Windows 2000 SP4(再起動)

18.9MB の 18 個のパッチと更新 (再起動)

34.6MB の 7 個以上の更新 (再起動)

 サイズの合計:およそ 102MB! Microsoft の計算によると、28.8 モデムでダウンロードにかかる時間はたった 36 分と 11 秒だ。素晴らしい!

 私は、大抵の人が友人や家族に対してするように、友人にシステムを常に最新の状態にしておくよう厳しい注意書きを付けて、コンピュータを返した。今後、彼が数メガバイトの更新やパッチ、サービスパックのダウンロードで多忙にならないことを祈るばかりだ。


●苦言を呈する

 さて、Linux ユーザが優越感を持ち始める前に、もう一つの貴重な経験を披露したいと思う。私はホロコースト生存者であるへディさん(80 歳)のコンピュータを維持管理している。彼女は Windows 98 を使用していたが、私はその OS に発見された無数のセキュリティホールにうんざりしていた。そして、彼女のモデムが壊れたのを契機に、Linux へ移行することにした。彼女はコンピュータで 4 つのことをしている。電子メール、Web、ワープロ、ソリテール(トランプ遊び)。まさしく、Linux は彼女に打って付けと考えた。実際、何の問題もなかった。しかし、私は彼女のコンピュータの更新にかなり苦労した。

 どうしてだと思う? 彼女はダイアルアップ式を使用していたからだ。

 他には? Libranet(私の最近のお気に入りの Linux だ)の最初のインストール後、550MB の更新をダウンロードしなければならなかったのだ。

 彼女のコンピュータのあるところで、私がそれらの更新をダウンロードできると思う? 私は自宅に持ち帰った。

 さて、Windows ユーザが優越感を抱き始める前に、次のことを思い出して欲しい。通常、Linux システムには何百というパッケージが同梱されている。従って、Linux マシンを更新する際、一度に膨大な数のパッケージを変更すると思われる。他方、Windows Update は Microsoft の製品(そして極少数のサードパーティのドライバ)を更新するだけだ。それらの 550MB の内でセキュリティ用の比率は、極めて小さいものだった。それは今現在も同じである。

 幸運なことに、へディさんの話しの結末は楽しいものである。SBC がセントルイスで積極的に DSL を推進した結果、現在では月額たった 28 ドルで利用できるようになった。彼女はダイアルアップに月 20 ドル支払っていた。高速インターネット接続に従来よりも月額 8 ドル多く支払うよう彼女を説得するのは、簡単なことだった。何よりも、私の頭痛の種が減った(最悪の場合、私のポケットマネーで毎月 8 ドル払う覚悟だった!)。


[情報提供:The Register]
http://www.theregister.co.uk/

[翻訳:関谷 麻美]

(詳しくはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec

《ScanNetSecurity》

Scan PREMIUM 会員限定記事

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定記事特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×