概要: 欧州議会は、企業が潜在顧客に対し迷惑メール(スパムメール)を勝手に送りつけることを合法とするのか、あるいは規制対象とするのかについて、合意することができなかった。 欧州議会議員であるグラハム・ワトソン氏によると「今回の議論において勝者は出なかった。スパムメールを「合法」または「規制対象」とするのかについては、欧州連合(EU)のメンバー国それぞれのが決めてよいという、政治的な妥協に至った」という。ワトソン氏自身は、メールで宣伝広告などを送り始める前に、業者が潜在顧客から事前許可を取る必要がある「規制対象」のアプローチを支持している。 一方、ヨーロッパ各地のダイレクトメール業者は、潜在顧客の事前許可を取らなくても、スパムメールをそれらの受信トレイに送りつけることができる「合法」のアプローチを支持している。よって、この妥協は、今後もスパムメールを主要な広告宣伝ツールとして利用したい業者側の勝利と見なしてもよいのではないだろうか。 一方で、欧州議会は、携帯電話へのスパムメール送信は禁止することを決議した。ヨーロッパの多くのインターネット接続業者 (ISP) は、スパムメールが ISPのサーバーなどを停滞させるため、スパムメールの廃止、または制限を支持している。また、ISPは、あるアドレスに送られてくるスパムメールから逃れようとする顧客を失う可能性もある。 各国の閣僚は、年末までに政策原案を作成する過程で、スパムメールの議論を繰り広げるだろう。しかし、メンバー各国が、11月13日に欧州議会によって承認されたアプローチと異なる立場をとった場合、欧州議会はメンバー各国間で譲歩手順を進め、妥協点を見出す必要がある。 欧州議会は、ヨーロッパ統合を目指す15ヶ国から構成され、メンバー各国の代表者 626名から成り立っている。情報ソース:European Parliament Nov. 15, 2001 http://www.europarl.eu.int/presentation/default_en.htmMobistar Nov. 15, 2001http://www.mobistar.be/en/corporate/about/index.htmlFrance Telecom Nov. 15, 2001 http://www.francetelecom.fr/vfrance/avotrecoute/f_index_internet.htmIDG.net Nov. 13, 2001http://www.idg.net/ic_727271_1794_9-10000.html分析: EUが作成を進めている「通信におけるデータ保護」に関する勧告のうち、スパムメールの取扱いは、特に議論を呼び起こしそうだ。仮にスパムメール法案が EUで承認されたとしても、各メンバー国の法律として承認されるまでには、何年もかかるかもしれない。更に考えさせられるのは、欧州議会議員の多くは、各種会議に出席するため、何度もブリュッセルとストラスブールを往復していることである。ベルギーとフランスの国境を越えるたび、全ての人々と同じように、議員の携帯電話には、ベルギー側ではモビスター社、フランス側ではフランステレコム社から、同国への到着を歓迎するテキストメッセージが送られてくる。もし、議員たちが、携帯電話でなく、パソコンでそれらメッセージを受信していたとすれば、パソコンへ送られるスパムメールも、果たして同じように禁止されただろうか?興味深い点である。(詳しくはScan本誌をご覧下さい) http://www.vagabond.co.jp/vv/m-sc.htm※この情報はiDEFENSE社( http://www.idefense.co.jp/ )より提供いただいております。情報の内容は以下の時点におけるものです【15:28 GMT、11、16、2001】