オサマ・ビンラディン氏率いるテロ組織『アルカイダ』は、巨大なインターネット網を利用してテロ攻撃に関する連絡を取っていたと見られている。その際、メッセージのデータを隠蔽するために電子あぶり出し技術を使用していたようだ。情報機関の報告書および専門家によると、パレスチナのテロ組織『ヒズボラ』や『ハマス』らと共に『アルカイダ』は、インターネット上で入手可能なフリー・ソフトウェアを利用して通信を行っていた。その際、毎日何万というインターネットユーザがネット上で送受信を行うミュージック・ファイルや一見普通の写真などに検出不可能なメッセージを埋め込んで連絡をとっていたという。彼らは、敬虔なイスラム原理主義者には似つかわしくないポルノ関連のチャットルームやポピュラー音楽、オークションそしてスポーツ関連のサイト内に攻撃対象の写真、図表、地図そしてメッセージを埋め込んだ。 電子あぶり出し技術とは、電子ファイルの空スペースに情報を埋め込む手法だ。その技術を使用するのに高度な知識は必要ないという。数あるインターネットサイトからフリーもしくは50ドル以下で入手できるソフトウェアをダウンロードし、そしてそのソフトの指示に従いマウスを数度クリックするだけで事足りる。埋め込んだメッセージを読めるのは意図された人物のみで、検出されることもない。また、そのようなメッセージが埋め込まれた音楽ファイルや写真と通常のものを人間の目で識別することは不可能だという。 現在、情報機関は大学の研究者と共同で、電子あぶり出し技術が識別できるような高度な検出プログラムの作成を急いでいる。