3月14日に電子書籍としてリリースされたスティーブン・キングの小説“Riding the Bullet”は、多くの人がそのコピーをダウンロードしようと販売サイトにアクセスし、好調な滑り出しを見せた。しかし料金の2ドル50セントを払わず、ネット上に掲載された海賊版をダウンロードした輩がごく僅かだがいた。 この小説の販売を手がけた電子書籍出版社Glassbook社の社長Len Kawell氏は、著作権保護のために施された暗号技術がハッカーにより破られたことを認めた。 暗号化されていないPDF(Portable Document Format)版の小説はすぐにいくつかのウェブサイトに掲載されたが、その殆どはすでに削除された。しかし、今週(3月最終週)のニュースグループには、海賊版が掲載されているサイトの情報が投稿されていた。 この事件による金銭上の被害は、微々たるものと見られている。実際、キングの電子版小説は多数の書店で無料で配布されていた。最も懸念されるのは、こうした海賊版の出現により作家や出版社が電子書籍のテクノロジーを敬遠することだ。Kawell氏は「今回の事件で二つの問題点が浮き彫りになった。一つは技術面での問題で、もう一つは海賊版取締り対策の問題だ。我々は真っ向からこの問題に取り組み、ネット上の海賊版を一掃しなければならない」と述べた。