Cloudbase Blog 1回「Cloudbase の挑戦 2 年間の軌跡 ~ 史上最小の取引相手」 | ScanNetSecurity
2024.07.31(水)

Cloudbase Blog 1回「Cloudbase の挑戦 2 年間の軌跡 ~ 史上最小の取引相手」

 セキュリティの領域においては、リスクを検出するだけでなく、その情報をどのように伝えるか、どのように理解していただくか、そしてどのように解決するかということが最も重要です。

製品・サービス・業界動向
Cloudbase株式会社

 2022 年初頭、クラウドセキュリティを通じて世の中に大きな価値貢献をするために、私を含めた京都大学出身の 3 人の若者が人生をかけたプロジェクトとして Cloudbase を立ち上げました。

 当時、技術力には自信がありましたが、セキュリティのビジネス的な側面の理解はまだまだであり、当然そんな我々への世間の認知度はゼロに近い状態でした。そんな中、クラウドセキュリティに関係しそうな Twitter (現 X ) のアカウントやニュースを夜な夜なウォッチしていると、ScanNetSecurity というセキュリティ特化型メディアの存在を知り、ある日、編集部に思い切って連絡を取りました。

 対応していただいた編集部の方は得体のしれない若者からの突然のアポイントメント依頼に快く応じてくださりました。当時コロナ期間真っ只中であったこともあり、オンラインでお話をしました。我々がクラウドセキュリティで世の中に大きく貢献をしたいことを伝えると、編集部の方からもセキュリティビジネスに関するアドバイスを頂きました。

 振り返ると、プロダクトの β 版も具体的な成果も全くない状態で、自分たちの情熱だけを頼りに飛び込んだのです。

 当時、私たちは β 版の開発を進めながら、どのようにお客様に価値提供できるかをずっと考えていました。その情熱が伝わったのか、編集さんは「海外製品がメインであるこのセキュリティという領域で、日本から若者が挑戦することを応援したい」と言ってくださいました。この出会いは、その後の私たちの活動において非常に大きな励みとなっており、今でも忘れられない出来事となっています。

● 1 社目のお客様からの学び

 我々 Cloudbase の 1 社目のお客様となったのは、大変有り難いことに日本を代表する自動車メーカー様でした。

 セキュリティチームの皆様は、会社全体でクラウドの利活用を積極的に行っている中で、オンプレで行っているようなセキュリティ対策がクラウド環境では手薄になっていることに課題を感じていらっしゃいました。

 特に、クラウドセキュリティ対策の特徴である「リスクを見つけるだけでなく、直す必要がある」「セキュリティ部だけではなく、事業部のクラウド利用者も巻き込む必要がある」「クラウドセキュリティへ精通している人材は非常に限られている」といった課題についてディスカッションを重ねながら、Cloudbase の実証実験を行いました。

 最終的には、Cloudbase の「事業部の方も巻き込み」「リスクを発見するだけではなく直し切る」ことが本質的であるという考え方や機能に賛同いただき、コンペティションの中で弊社を選んでくださりました。

 Cloudbase の活用に至る意思決定の前には「そういえば御社は 3 名の会社でしたよね。。? 契約するなら史上最小の取引相手になるかもしれません」というコメントを頂いたことを今でも鮮明に覚えています。あまりにも小さい存在である我々と大企業との契約はやっぱり難しいのか、と一抹の不安がよぎりましたが「なんとかしますよ。大丈夫です」と力強い言葉をかけてくださりました。

 その面談が終わった瞬間に、代表の岩佐と私は気づけばハイタッチをしていました。この成功体験が、私たちの自信とモチベーションを大いに高め、お客様に大きな価値貢献をするさらなる挑戦への原動力となりました。

 そうして様々なお客様からの学びが今の我々を形作っています。さらにプロダクトを改良し、日本のエンタープライズ企業の課題をより解決するためのプロダクトアップデートを次々と重ねていきました。

● Cloudbase のミッション

 Cloudbase のミッションは、「日本企業が、世界を変える時代をつくる。」です。この目標に向けて、社員ひとりひとりが人生をかけて取り組んでいます。

 日本はかつて、技術力で世界をリードしていました。日本で生まれ、育てていただいた立場として大変誇りに思っています。一方で、現在の日本の国力や活力は、失われた 30 年という言葉にもあるようにやや低空飛行状態にあると感じています。これを少しでも右肩上がりに引き上げたいという強い思いを持って、私たちは事業に向き合っています。

 我々が社会へ価値貢献すべきポイントは、日本を代表する大企業の取り組みをさらに向上させることだと考えています。大企業の変革であるデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、オンプレミスからパブリッククラウドへのシフトが重要なのは言うまでもないでしょう。AWS や Microsoft Azure が日本に大規模な投資を行い、クラウドの利用が進み、企業のシステムがモダン化している今、特にセキュリティ面での課題が増えているように感じています。

 具体的な事例としてクラウドを利活用する大企業の皆様からよく耳にするのは、「使い始めたは良いが、まだわからないことが多い」という声です。特にセキュリティ面での不安が大きく、AWS を使って新規事業を立ち上げても、セキュリティチェックに半年もかかり、事業が遅延してしまうことや、クラウドに詳しい人材が不足していることで限られたサービスしか使えていない状況となっていることが大きな課題です。

 さらにこの数年では、日本を代表するような最大手企業においてもクラウド活用に起因する大規模なインシデントが増えており、対策の必要性が増しています。

 Cloudbase は、日本企業の皆様をクラウドセキュリティの面からご支援させていただくことで、安心してクラウドを利用し、システムや事業開発の速度を高める環境を一緒に作っていきたいと考えています。さらに、その先には、日本企業が持つ素晴らしいアセットと最新のソフトウェア技術の組み合わせにより、多くの人々が幸せに暮らせる世界の実現を目指します。

● 2 年間のプロダクトの進化

 2022 年からの 2 年間、我々は日々お客様から学びながら、いかにより良いプロダクトをご提供できるかということを常に考え抜いてきました。お客様と一緒にプロダクトを育てているという感覚が非常に強く、皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

 弊社の強みのひとつとして、日本トップクラスのソフトウェアエンジニアやセキュリティのプロフェッショナルが集結している点が挙げられます。情報オリンピックのメダリストや未踏スーパークリエイタに認定された人材も在籍しています。

 そんなプロダクトチームと営業部隊が一体となり、お客様からのフィードバックを基に、毎月大きなアップデートを実施し機能改善を行うことで、プロダクトは飛躍的に進化を遂げてきました。

 セキュリティの領域においては、リスクを検出するだけでなく、その情報をどのように伝えるか、どのように理解していただくか、そしてどのように解決するかということが最も重要です。

 例えば、Cloudbase も含めクラウドセキュリティ製品はクラウド上のリスクを網羅的に検知することができます。しかし、お客様が直面する問題は、検知されたリスクの数に対して具体的に何をすればいいのかという「運用の悩み」です。そこで我々は「即時対応リスク」というコンセプトを導入しました。お客様のネットワーク経路や権限付与の状況など、クラウド特有の情報を多面的に捉え、具体的な攻撃経路を特定し、その上で優先度の高いリスクから対応いただけるようにガイドしています。

 また、リスクの解決方法についても、プロフェッショナルなエンジニアが具体的なガイドをプロダクト上で提供しており、クラウド・セキュリティの専門家はもちろん、専門でない方であっても、リスクを直し切ることができるように設計していることが我々のプロダクトの特長です。

 また、プロダクトだけでなくサポートチームが充実していることも強みです。リスク解決のためのラストワンマイルである技術的なご相談にも対応できる体制を整えています。

 このように、今後も引き続きプロダクトの進化を追求していきたいと考えています。特にリスクを解決するための体験をより向上させることに注力し、リスクを見つけて終わりではなく、実際に解決に導くことのできるプロダクトとサポートをご提供していきます。

● ScanNetSecurity との再会と今後

 今年に入りとある取材で 2 年ぶりに、当時対応いただいた ScanNetSecurity 編集部の方にお会いする機会を得たことは非常に喜ばしい出来事でした。特に嬉しかったことは以下の 2 点です。

 まず、この 2 年間のアップデートを伝えられたことです。我々のプロダクトが、スズキ様、出光興産様といった日本を代表する企業の皆さまに愛されていると証明できたことは何よりの誇りです。

 もう 1 点は編集の方の反応です。日本で生まれたセキュリティサービス企業として、我々のような若い組織が世の中へチャレンジすることに対して、心から共感し応援してくださっていることに感動しています。この 2 年間の努力が報われたように感じていますし、改めて ScanNetSecurity のような専門的なメディアと共に新たなチャレンジを続けたいと強く感じました。

 繰り返しになりますが、我々のミッションは「日本企業が、世界を変える時代をつくる。」ことです。この目標に向けてどれだけ力強く、粘り強く取り組んでいけるかといった姿勢が重要だと考えています。

 しかし、クラウドセキュリティという領域はまだまだ黎明期であり、クラウドの利用が増える一方で、事故も増えている現状であり、適切な対策をすることが急務となっています。

 クラウドセキュリティそのものの認知度を向上させることはもちろん重要ですが、ツールを導入するだけではなく、しっかりと運用してリスクを解決することが最も重要です。

 Cloudbase はこの点を皆様と一緒に取り組んでいきたいと考えています。私たちのプロダクトやサービスを通じて、多くの企業の皆さまがセキュリティリスクを適切に管理し、ビジネスを安全に展開できるようにサポートすることで、日本企業が持つ潜在能力を最大限に引き出し、世界の市場で競争力を持つために必要なセキュリティ基盤を提供することに力を注いでいきます。

 この 2 年で、我々のサービスは日本を代表する多くの企業の皆さまにご利用いただけるようになりました。さらに 1 年後には、誰が見ても「クラウドセキュリティなら Cloudbase だ」と認識いただけるような存在感と実力を持ったプロダクトやサービスを提供したいと考えています。最終的には、より多くの企業の皆さまへ価値を提供し、世の中に貢献できる存在になっていきたいと考えています。

 今後も Cloudbase は、日本企業がクラウドを安全に利用し、世界で競争力を持つためのサポートを続けていきます。読者の皆様も、ぜひ私たちと一緒にこの新しい時代を築いていきましょう。情熱を持って、共に未来を創り出しましょう。私たちは、皆様と共に成長し、成功するために全力を尽くします。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

《Cloudbase株式会社 共同創業者 小川 竜馬》

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