大企業やグローバル企業、金融、社会インフラ、中央官公庁、ITプラットフォーマなどの組織で、情報システム部門や CSIRT、SOC、経営企画部門などで現場の運用管理や、各種責任者、事業部長、執行役員、取締役、またはセキュリティコンサルタントやリサーチャーに向けて、毎月第一営業日前後をめどに、前月に起こったセキュリティ重要事象のふり返りを行う際の参考資料として活用いただくことを目的に、株式会社サイント代表取締役 兼 脅威分析統括責任者 岩井 博樹 氏の分析による「Scan PREMIUM Monthly Executive Summary」をお届けします。なお、「前月総括」以外の各論は、本日朝配信の Scan PREMIUM 会員向けメールマガジンに掲載しています。
>>Scan PREMIUM Monthly Executive Summary 執筆者に聞く内容と執筆方針
>>岩井氏 インタビュー記事「軍隊のない国家ニッポンに立ち上げるサイバー脅威インテリジェンスサービス」
【前月総括】
10 月 7 日のハマスによるイスラエルへの大規模奇襲の後、サイバー空間でのハクティビストらの活動に注目が集まりました。その影響は日本にも及び、GHOSTS of Palestine や IRoX Team などの親パレスチナ系のハクティビストが、日本政府や重要インフラ事業者に対するサイバー攻撃の実施を主張しました。彼らの主張は「日本政府が国連においてイスラエルを支持する票を投じたことに対する報復」としています。
ただし、彼らの主張したような事実は無く、日本は国連安全保障理事会において人道支援のための一時的な戦闘停止を求める決議案の採決において、アメリカとは歩調を合わせず賛成票を投じています。また、ハマスとの戦闘を継続するイスラエルの自衛権を支持する G7 の共同声明には、日本政府は参加していません。これらの点を鑑みますと、イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争激化に乗じて、騒いでいるだけのハクティビストも少なくないとみられます。