日本のキャッシュレス決済比率は36%、二酸化炭素排出量を抑制する試算も | ScanNetSecurity
2025.04.01(火)

日本のキャッシュレス決済比率は36%、二酸化炭素排出量を抑制する試算も

キャッシュレス推進協議会は、国内外のキャッシュレスの動向についてまとめた「キャッシュレス・ロードマップ2023」を公開した。

製品・サービス・業界動向
世界主要国におけるキャッシュレス決済比率(2021年)

 一般社団法人キャッシュレス推進協議会は8月16日、国内外のキャッシュレスの動向についてまとめた「キャッシュレス・ロードマップ2023」を公開した。同協議会は、経済産業省の「キャッシュレス・ビジョン」を受けて、業界横断的で産学官が連携しキャッシュレス化を推進するために2018年に設立されている。

 ロードマップによると、2022年の日本のキャッシュレス決済比率は36.0%と、前年から3.5ポイント増加した。比率の増加状況は加速しており、クリティカル・マス(急激に普及率が伸び始めるポイント)を超えたとしている。

 内訳ではクレジットカードが84.5%、デビットカードが2.9%、電子マネーが5.5%、コード決済が7.1%となっている。前年比では、クレジットカードと電子マネー以外は増加しており、特にコード決済は前年の5.6%から2022年は7.1%と50.3%の増加率を記録している。

 件数においても、すべてのキャッシュレス決済手段が増加している。その中でもコード決済は43.8%と利用件数が大きく伸びており、全体に対する比率でも前年の19.4%から23.8%へと拡大した。平均利用金額も伸びているが、クレジットカードの5,088円に対しコード決済は1,534円と、コード決済が少額の利用に活用されていることが分かる。

 日本政府は2025年にキャッシュレス決済比率が40%に到達することを目標としているが、世界的にみると2021年の32.5%は世界主要国では10位にとどまっている。なお、1位は韓国で95.3%、2位は中国で83.8%、3位はオーストラリアで72.8%となっている。

 またロードマップでは、キャッシュレス決済の二酸化炭素排出量への影響の算出に挑戦している。あるサービスのライフサイクル全体の環境負荷を定量的に評価するには、ライフサイクルアセスメント(LCA: Life Cycle Assessment)と呼ばれる手法が国際規格として定められている。

 ただし、短期間でLCAを正確に算出することは困難であるため、現金、キャッシュレスのそれぞれにおいて、「製造」「利用」「廃棄」の3つのプロセスに着目し、現金やキャッシュレス決済サービスの提供に必要なサイクルの各活動における試算の合算値を、二酸化炭素排出量として認識するとした。

 現金決済の場合は紙幣や貨幣の製造、ATMや自動釣銭機、両替機などを含めており、キャッシュレス決済の場合はカード、スマートフォン、決済端末などを含めている。ただし、輸送コストについては算出不能とするなど、ロードマップでは再三にわたり「正確性に欠ける」と記載している。

 試算の結果、2022年には現金決済が197,514,717百万円の利用であり、単純計算では1.06g/千円の二酸化炭素排出量となり、キャッシュレス決済は111,023,683百万円の利用であり、単純計算では0.34g/千円の二酸化炭素排出量となった。キャッシュレス決済の利用が二酸化炭素排出量を抑制できると結論付けた。

 なお、今後キャッシュレスがより普及し利用頻度が向上すると、キャッシュレスのための電力利用が増加すると考えられる。この場合、千円あたりの二酸化炭素排出量が悪化する可能性もあるため、キャッシュレス業界ではより環境負荷を軽減する取組を継続する必要があるとしている。

《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

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