車載ネットワークの代表例がCAN(Controller Area Network)だ。車載ネットワークを総称する呼び名として使われることもあるが、車載ネットワークの標準規格の名称だ。CANは、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、サスペンション、あるいはメーターパネル、エアコン、灯火類・照明、ドアミラー・パワーウィンドウ・電動シートといった電装品を制御するための命令やデータをやりとりしている。
データの高速伝送にはCANの高速化(CAN-FD)やFlexRayといった規格で対応するアプローチもあるが、もうひとつのアプローチは車載用イーサネットの規格標準化だ。イーサネットは、企業内ネットワーク(イントラネット)などLAN(Local Area Network)の標準規格。これを車載用に拡張する取り組みが進んでいる。伝送ケーブルはツイストペア線と光ファイバー。伝送速度はLANと同レベルの100Mbpsから1Gbpsとなっている。ちなみに通常のCANは1Mbps。CAN-FDは8Mbpsとなっている。
車載ネットワークの高速化、高度化のニーズは他にもある。次に後押ししているのはOTA(Over the Air)技術だ。車載システムが高度化・複雑化することに伴い、ECUやADASシステムにも企業システムのようにセキュリティアップデートの機能が必須とされている。OSやファームウェアのアップデートは時として巨大なファイルを転送する必要がある。これは当然CANに接続されたECUに直接送り届ける必要がある。
JASPARは国内の業界団体であり、コンチネンタルはグローバルのTier1サプライヤーだ。それぞれ立場の違いはあるが、共通して語っていたのは、車載ネットワークの動的構築とSDN(Software Defined Network)だ。SDNは文字通り、物理的な接続やネットワークスイッチの構成とは別に、ネットワークの機器構成、グループ分けをソフトウェア的に任意に制御できるネットワークだ。クラウド化が進むデータセンターでは、サーバーが仮想化されネットワークも自由に構成が変えられるようにSDN化が進んでいる。