BCPの観点も含め東日本大震災が社内SNSに取りかかる契機に | ScanNetSecurity
2024.03.29(金)

BCPの観点も含め東日本大震災が社内SNSに取りかかる契機に

 3.11東日本大震災において、Twitterをはじめとするソーシャルメディアは、大きく活躍するとともに、さらなる普及を果たした。企業にとっては、BCP(事業継続計画)などの観点も含め、改めて「エンタープライズソーシャル」(社内SNS)に取りかかる契機ともなった。

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 3.11東日本大震災において、Twitterをはじめとするソーシャルメディアは、大きく活躍するとともに、さらなる普及を果たした。企業にとっては、BCP(事業継続計画)などの観点も含め、改めて「エンタープライズソーシャル」(社内SNS)に取りかかる契機ともなった。

 去る2月5日、東京都内で行われた業界イベントで、ビートコミュニケーション代表取締役社長の村井亮氏とソフィアでコミュニケーションコンサルタントを務める築地健氏が、「エンタープライズソーシャルとビジネスコミュニケーションの未来」に関する対談を実施。そのなかでも、震災とエンタープライズソーシャルに関して、興味深いやりとりがあった。

 まず「問題の多くがコミュニケーションに起因している」として、村井氏は、ここ最近の日本企業の傾向として、人材の流動化と働き方の多様化が進み、「専門性の高い職人型ビジネスを提供している企業であればあるほど、ナレッジの共有が重要課題にあがっています」という背景を指摘。築地氏も「日本企業はトップダウンに慣れすぎてしまっていて、ナレッジシェアやボトムアップ型の社内コミュニケーションは得意ではない」と指摘した。

 一方で、そのカウンターとなるかのように、東日本大震災のときに、多くの企業で社内SNSが活躍した。安否確認、被災地支援、在宅作業などで使われ、社内SNSを使って危機を乗り越えていく企業や危機への備えをする企業がたくさん現れたという。「東日本大震災に電力会社各社がエンタープライズソーシャルのようなリアルタイムで情報が共有できる社内電脳ネットワークを導入していれば、決断も早く、国家規模での被害が縮小できただろうにと感じることもあります」と村井氏は述べている。

 対談ではさらに、社内SNSが「変革とイノベーションを支えるインフラ」になりえるとして、社内SNSを使って新製品を開発したり、自社サービスをブラッシュアップして販売展開したりする事例を紹介。「メールやチャットなど既存の手段では生まれ得なかったコミュニケーションが発生する場」「今まで組織のなかで、一人の社員が社内の不特定多数の人に呼びかけたり働きかけたりするようなインフラはなかった。(中略)社員情報を全社員に開放するというのはSNSのプロフィールの考え方に他ならなくて、まだ会ったことのない人でもこのプロダクト、このサービス、この問い合わせの担当者は、どこの誰なのかが確認できて、誰に声をかければいいのかが見えてくるという点で画期的です」(築地氏)と、社内SNSのメリットを解説している。

 また、「社内SNS導入時にポイントとなる点」という村井氏の質問に対し、筑地氏は「(1)戦略との整合」「(2)成果の測定」「(3)資源の管理」「(4)リスクの管理」「(5)価値の提供」の5つを掲げている。過剰な期待は避けるようにと釘を刺しつつも、社内SNSは“風土の変革やイノベーション創出のためのインフラとして、投資対効果を十分発揮する”と考察している。

「あのとき電力会社に社内SNSがあったら……」 震災とエンタープライズソーシャル対談

《冨岡晶@RBB TODAY》

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