ScanDispatch「たった6分iPhoneから目を離すとパスワードが奪われる」 | ScanNetSecurity
2024.04.25(木)

ScanDispatch「たった6分iPhoneから目を離すとパスワードが奪われる」

 iPhoneやiPadがパスコードでロックされていても、VPNやWi-Fiその他のiPhoneに登録されているパスワードを入手する攻撃が発表された。ローカルからの攻撃であるため、攻撃者が実際に被害者のデバイスにアクセスする必要がある。しかし、6分あれば攻撃を実行できることか

国際 海外情報
 iPhoneやiPadがパスコードでロックされていても、VPNやWi-Fiその他のiPhoneに登録されているパスワードを入手する攻撃が発表された。ローカルからの攻撃であるため、攻撃者が実際に被害者のデバイスにアクセスする必要がある。しかし、6分あれば攻撃を実行できることから、デバイスの紛失に気がついた時にはすでに手遅れになりかねない。このためデバイスの管理を厳重にする必要がある。

 この攻撃を発表したのは、ドイツのフラウンホーファー研究機構のJens Heider氏とMatthias Boll氏で、「Lost iPhone? Lost Passwords! - Practical Consideration of iOS Device Encryption Security」というタイトルの論文にまとめられている。

 論文の前書きには、「iOSはAES-256のアルゴリズムを使用しているため利用者は安心しがちだが、すでに去年、暗号化されていないディスク・イメージをiPhoneからコピーしたり、パスコードをバイパスする方法も発表されている。その理由は、現在のiOSの暗号キーはユーザのパスコードを使用せず、デバイスに内蔵されているデータを使って生成されるから」iOSのkeychainデータにアクセスできると書かれている。

 keychainには、iOSの「email、groupware、VPN、Wi-Fi、Webサイトなどのパスワードやアプリのパスワード、証明書が含まれている」らしいので、今回の攻撃ではデバイスに保存されているパスワードをほぼ根こそぎコピーすることができるわけだ。

 実験が行われたのはiPhone4とiPadで、ファームウェアは4.2.1。

 攻撃は、脱獄ツールを使ってSSHサーバをデバイスにインストールし、次にkeychainにアクセスするスクリプトをSSHでデバイスにコピーする。このスクリプトはシステムのファンクションを使用してkeychainのデータにアクセスするため、keychainの暗号メカニズムをリバース・エンジニアリングする必要はない。そして最後にそのスクリプトを実行してパスワードを入手する。

 この攻撃で入手できるパスワードなどは、Apple Push、Apple-token-sync、CalDav、Google Mail(Exchange Account)、iChat、LDAP、Lockdown Daemon、MS Exchange、Voicemail、VPN IPSec、Shared Secret、VPN XAuth Password、VPN PPP Password、Wi-Fi、Wi-Fi WPA。アクセスできないものは、AOL Email、Generic IMAP、Generic SMTP、Google Mail、iOS Backup Password、SafariのWebサイトのアカウント、Yahoo Mailだ。アプリケーションはまちまちだが、ものによってはクリアテキストでパスワードを保存しているものもあることが分かったそうだ。

 両氏は同時に、攻撃をデモンストレーションしたビデオも公開しているので参照されたい。

「Lost iPhone? Lost Passwords!:Practical Consideration of iOS Device Encryption Security」
http://www.sit.fraunhofer.de/en/Images/sc_iPhone%20Passwords_tcm502-80443.pdf

攻撃のデモビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=uVGiNAs-QbY

(米国:笠原利香)
《ScanNetSecurity》

Scan PREMIUM 会員限定記事

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定記事特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×