NICT(独立行政法人情報通信研究機構)宇宙通信ネットワークグループは11月23日、低軌道地球周回衛星を利用した世界で初めて高精度なレーザ光による衛星〜地上間の偏光特性の測定に成功したと発表した。これは、NICTの光地上局において、JAXAが2005年8月に打ち上げた低軌道地球周回衛星である「OICETS(きらり)」を用いて、衛星-地上間での偏光の劣化が2.8%以下という結果を、世界で始めて観測に成功したというもの。 空間での量子鍵配送には、そのシステムの簡便性と安定性が得られる点から、光子の偏光を用いた鍵配送が一般的に用いられるが、偏光の度合いが劣化してしまうと安全な鍵の共有を行うことはできない。本結果から、上層大気を含む大気の影響は、量子鍵配送に問題ないレベルに抑えられていることが確認された。人工衛星を用いた地球規模での量子鍵配送の実現への大きな手がかりを得たことになり、実際に宇宙光通信の実用化を目指した実験衛星の設計を進めることが可能となった。 http://www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h21/091123/091123.html